2022 Fiscal Year Research-status Report
大豆摂取の記憶関連脳容積への影響-エストロゲン受容体遺伝子型を考慮した縦断研究
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20K05925
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中本 真理子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 講師 (40722533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 礼 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 老年学・社会科学研究センター, 部長 (00532243)
西田 裕紀子 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 老年学・社会科学研究センター, 副部長 (60393170)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 大豆 / 豆類 / 海馬 / 嗅内野 / 脳 / 中高年者 / 長期縦断疫学研究 / 栄養疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は地域在住中高年者における食事を介した脳容積の低下予防を目的とし、国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)の第6-7次調査データ(2008-2012年)と本研究期間内に実施される追跡調査データから、大豆製品・イソフラボン摂取と脳容積との関連について検証するものである。食事量は3日間の食事記録調査から算出し、脳容積は頭部MRI3次元画像を用いて評価した。 本年度は昨年度に引き続き、1)6-7次調査データによる2時点の縦断解析と2)6,7,9次調査データ(2008-2022年)の3時点縦断解析に向けたデータスクリーニングを行った。1)2時点データを用いた縦断解析:一般線形モデル(調整要因:年齢、病歴、喫煙、飲酒、身体活動、教育歴、BMI、エネルギー摂取量)により、大豆製品及び大豆含有成分の摂取量4分位における海馬容積変化の調整平均値を算出した。男女ともに、大豆製品及び大豆含有成分と海馬容積変化と関連しなかった。2) 3時点データを用いた縦断解析:3時点の連結脳データの抽出が未完了であるため、一部のデータでの解析になるが、豆類の摂取量2群(低群・高群)と豆類と経過年数の交互作用項を含む混合モデル(調整要因:経過年数、性、年齢、病歴、喫煙、年収、飲酒、教育歴)を用いて、豆類の摂取量2群による海馬容積の推移を推定した。豆類の摂取量の違いが年数経過に伴う海馬容積の低下速度に影響し、豆類摂取低群に比べ高群で海馬容積の低下が緩やかであることを確認した(p for interaction <0.001)。 今後、3時点データの脳データの抽出を引き続き行い、全抽出データを用いた縦断解析によって豆類、大豆製品、イソフラボンの摂取が記憶関連脳容積の変化に与える影響を検討する必要があるが、豆類の摂取は海馬容積の変化に影響する可能性があることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で遅延していた追跡調査が2021年度中に終了したものの、6,7,9次調査データの3時点縦断解析に必要な脳の縦断データの抽出作業の完了までに時間がかかり、計画していた縦断解析の一部を実施できていない。しかし、実施できた縦断解析により、豆類の摂取量の違いが年数経過に伴う海馬容積の低下速度に影響し、豆類摂取低群に比べ高群で海馬容積の低下が緩やかであることを明らかにした。研究分担者、研究協力者との連携を図り、追跡調査データを用いた縦断解析の実施に向けて準備を進めている。以上の理由により、本研究はやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、3時点データを用いた縦断解析に必要な6,7,9次調査で収集された脳データの連結および抽出作業を進める。2年間の脳容積の変化は、個人差等による誤差が非常に大きく、十分な解析結果が得られなかったため、6,7,9次調査で収集された脳データが準備でき次第、さらなる縦断解析を実施できるように進める予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)新型コロナウイルス感染症拡大の影響で追跡調査の終了が遅延した関係で、当該研究期間中に追跡調査データを用いた一部の縦断解析を行うための旅費等が未使用のため。 (使用計画) 翌年度分として請求した研究費とあわせ、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で終了が遅延した追跡調査のデータ整理を実施するための人件費、文具の購入、2022年度中に実施できていなかった縦断解析を行うための旅費、研究関連図書・資料等の購入を行うために使用する予定である。
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Research Products
(4 results)