2020 Fiscal Year Research-status Report
Monitoring of fauna of the Northern Territory, with a special attention to the sika deer and the European mink
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20K06086
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大舘 智志 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (60292041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 仁志 北海道大学, 農学研究院, 教授 (20707129)
河合 久仁子 東海大学, 生物学部, 准教授 (60451415)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エゾシカ / ヨーロッパミンク / トガリネズミ / 国後島 / 環境DNA |
Outline of Annual Research Achievements |
1986年から2019年までの33年間を対象に国後島と歯舞群島を中心とする北方領土におけるエゾシカの生息情報を分析した。エゾシカの遺骸は3年に1回ほどの頻度で,国後島と歯舞群島の水晶島で発見されていることがわかった。そして2017年からは毎年,国後島において,直接観察や糞,足跡が確認され、少なくとも数頭のエゾシカが定着していると思われた。 一方、2019年9月に国後島で採集した17地点分の環境DNAサンプルについて環境DNA学会提案の標準化マニュアルに即したDNA抽出を行い、哺乳類DNA検出に向けたメタバーコーディング解析を行った。その結果、ヒトを含む計18種の哺乳類DNAが検出された。このうち最も多くの地点で検出された哺乳類はオオアシトガリネズミとタイリクヤチネズミであり(各15地点)、次いでドブネズミ(12地点)、ヒグマ(11地点)の順となった。内部標準に基づく推定DNA濃度の平均値はオオアシトガリネズミが最も高く(1246.17 copies/L)、次いでヒグマ(969.18 copies/L)、タイリクヤチネズミ(595.24 copies/L)、ドブネズミ(100.68 copies/L)となった。これらの結果から、国後島にはオオアシトガリネズミが広く高密度に生息していることが推測される。なお、エゾシカとヨーロッパミンク由来のDNAはこれまでの解析では検出されておらず、これらの種については国生息数が極めて少ない可能性が示唆された。 令和2年度はCOVID-19の影響により北方領土への専門家交流事業が中止されて現地には行けなかった。このため、調査目標にも挙げている北海道東部地方の哺乳類相把握のための現地調査を行った。トガリネズミ類を主な対象とする調査を浜中町で行ったが、この年は低密度年にあたりオオアシトガリ9頭、エゾトガリ5頭、ヒメトガリ18頭しか捕れなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度はCOVID-19の影響により北方領土における専門家交流事業が中止されて現地調査に基づく新たなサンプルと情報は手に入れられなかった。しかし2019年に予め現地の自然保護区およびロシアの研究者との共同により採取していた環境DNAの分析の一部を行うことができた。この環境DNAの分析についてはほぼ当初の予定どおりに解析する事ができた。 つまり研究全体としては、新たなサンプルは得られなかったが、「やや遅れている」程度の遅延ですんだ、と評価された。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年年度もCOVID-19の影響により、北方領土における日露の専門家交流事業が行われるかは不透明である。しかし、国後島の自然保護区には、エゾシカの死骸や糞が採取された場合は適切に保管するように依頼してある。これらのサンプルが得られたら、エゾシカの遺伝情報から由来を調査し、また糞からは何を食べているかを明らかにする予定である。 ヨーロッパミンクの情報に関しても引き続き情報を収集するように自然保護区事務所に依頼している。 環境DNAについては新たなサンプルの収集が難しい状況であるが、今年度はヨーロッパミンクに特異的なプライマーを開発し、すでに収集してあるサンプルについてもそれを用いて検出ができるかどうか試す。 また日露の専門家事業が中止になった場合、昨年度同様に道東地域においての比較調査ということで、浜中町においての小型哺乳類相の調査の継続を行う。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響のよりDNA分析が予定通りには進まなかったため。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Records of Sika Deer Cervus nippon from the Southern Kuril Islands in 1986-2019, with Special Reference to a Continuous Record of Living Deer on Kunashir Island Since 20172020
Author(s)
Kozlovskiy, Evgeniy E., Kisleiko, Aleksandr A., Fukuda, Tomoko, Kawai, Kuniko, Abramov, Alexei V., Ohdachi, Satoshi D.
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Journal Title
Mammal Study
Volume: 45
Pages: 167-171
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research