2023 Fiscal Year Research-status Report
本邦温帯域におけるハダカイワシ類の音響生物量推定法の開発と時空間的分布変動の解明
Project/Area Number |
20K06200
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
安間 洋樹 北海道大学, 水産科学研究院, 教授 (50517331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 暢夫 北海道大学, 水産科学研究院, 教授 (50186326)
前川 和義 北海道大学, 水産科学研究院, 助教 (80250504)
高橋 勇樹 北海道大学, 水産科学研究院, 准教授 (00761701)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 音響生物量推定 / 温帯性中深層性魚類 / ターゲットストレングス |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は,温帯性種であるイワハダカを対象に,ターゲットストレングスを明らかにしたうえで,夏季に行った音響調査により,本種の空間分布,分布密度とバイオマス,日周鉛直移動の有無や規模等,基礎的な生物情報を得た。 2023年7月13日から15日にかけて,鹿児島湾の桜島以南全域を含むように8本の調査定線を設定し,鹿児島大学付属練習船南星丸に搭載された計量魚群探知機KFC-3000(Sonic Co.)を用い,38 kHzと120 kHzの体積後方散乱強度(Sv値)を計測した.顕著な音響散乱層が確認された海域においては,昼夜の連続計測を行った他,夜間に中層トロールによる生物採集を行った.持ち帰った生物サンプルを用い,軟X線による鰾の形態観察を行った後,形態情報を回転楕円体モデルに適用し,本種のターゲットストレングス(TS)を求めた. 本種からは気泡を満たした鰾が観察され,TS値は比較的高い他,音響調査における鰾共振の影響は少ないことが明らかとなった.イワハダカによる音響散乱層は,深度約100~130 mに形成され,鹿児島湾内の水深120 m以深の全域に広がっていた.調査海域の北東部(垂水市沖)の斜面域においては比較的高い音響反射が観察され,分布密度における地理的な影響が示唆された.音響散乱層における生物密度は,高いところでは数グラム/m2に達すると推定され,構成魚群のほとんどが,顕著な日周鉛直移動を行っていた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
補助事業全体を通して,新型コロナウィルスの影響で洋上調査が行えない期間があったことにより,実施機関の延長をした。この結果,2023年度には黒潮‐親潮以降域での洋上調査を2回,九州(鹿児島県)沖での調査を2回,実施することができた。これらにより明らかにしたTS-体長関係は20種に及び,当初の目的はおおむね達成できたと判断する。 黒潮親潮以降域における空間分布・生物量については,4年間のモニタリングを実現し,優占種の分布特性と年変動を解析できるデータセットが揃った。また九州沖合域の最優占種であるイワハダカにおいても,夏季・冬季のデータセットを取得し,当該海域での生物量とその季節変動を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度までに得られた約20種のTS-体長関係をデータベース化する。北海道東方沖,黒潮‐親潮以降域においては,5年間の音響調査データを用い,経年データとしての解析を進める。九州沖合海域においては,2024年度もデータ取得を継続し,2年分の解析を実施する。
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Causes of Carryover |
2022年度までの新型コロナウィルスの影響による調整(調査船使用時間の配分を次年度に持ち越した)のため,2023年度に行う予定であった乗船調査を全て実施することができなかったため,旅費等に差額が生じた。
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