2020 Fiscal Year Research-status Report
脂肪細胞分化抑制活性を示すコンドロイチン硫酸種の同定と機能の解明・脂肪量の制御
Project/Area Number |
20K06411
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
保坂 善真 鳥取大学, 農学部, 教授 (00337023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 純一 鳥取大学, 農学部, 教授 (30221401)
割田 克彦 鳥取大学, 農学部, 准教授 (40452669)
北村 直樹 鳥取大学, 農学部, 准教授 (80301951)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | コンドロイチン硫酸 / 脂肪分化 / 3T3-L1 / CSサブタイプ(型) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は以下である。①脂肪細胞分化抑制活性が最も高いCS種を同定し、その後、分化過程でのCSおよびその合成を担うコンドロイチン硫酸基転移酵素(Chst)の挙動を、細胞および生体レベルで解明する。②Chstの発現量を、細胞および生体レベルで調節することで、生体の脂肪量の制御を試みる。これらから、脂肪細胞分化でのChstおよびCSの機能を、細胞および生体レベルで明らかにする。 実験初年度は、①の脂肪分化抑制活性が最も高いCS種の同定を試みた。複数のCS種から組成されるCSを添加したメディウム中で、前駆脂肪細胞3T3-L1の脂肪細胞への分化を誘導した。その結果、複数のサメやエイなどの軟骨魚由来のCSが、強い脂肪細胞分化抑制活性を示した。この実験に用いたCSの組成は、いずれもA、C、およびDの各型からなっている。いずれのCSにもC型が最も多く含まれ、また、E型は全く含まれていない。以前行った間葉系幹細胞KUSA-A1を用いた脂肪分化実験では、イカ由来のE型を多量に含むCSが、高い脂肪細胞分化抑制活性を示したが、今回の3T3-L1を用いた実験ではCS-Eに分化抑制活性を見出すことが出来なかった。細胞の系統あるいは分化ステージによって、CSの抑制活性が異なる可能性が示された。なお、脂肪細胞への分化過程でのCSおよびその合成を担うChstの変動については、現在検索中であり、ある程度結果をまとめた上で来年度以降に公表したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終的に脂肪細胞へと分化するものの、細胞の系統によっては脂肪細胞分化抑制活性がCS種、すなわちCSの構造によって大きく異なることを明らかにできた。また、C型を多く含むCS(CS-C)が、3T3-L1に対して最も強い分化抑制活性を有することを推定できた。
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Strategy for Future Research Activity |
脂肪細胞分化過程でのCSの産生動態を解析する予定である。分化誘導開始後に系時的に細胞を採取、抽出したCSの組成を解析し、脂肪細胞分化過程でのCS産生の変動を明らかにする。また、肥満マウスを作成し各組織中(脂肪、筋肉等)のChstおよびCSの量を正常マウスと比較する。3T3-L1細胞のChst産生が継続すれば、CSの産生が持続し、脂肪細胞への分化が抑制されるという仮説を証明するために、最も抑制能の高いChst遺伝子を過発現および抑制させた3T3-L1を作成し、細胞内への脂肪蓄積量や産生CS量を比較する。さらに、脂肪組織特異的にChst遺伝子発現を過剰発現させたマウスを作成し、高脂肪食を与えて体重や脂肪蓄積量の変化を解析し、脂肪細胞分化でのChstの機能を、生体レベルで明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
CSの測定に使用する高速液体クロマトグラフィー(HPLC)が不調であり、そのための試薬の購入を控えていた。現在は、機器が従前の状態に戻り、計画的に試薬の購入とCSの測定を行うことが出来ている。
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