2022 Fiscal Year Annual Research Report
液-液相分離によるオートファジー関連結合反応の制御機構
Project/Area Number |
20K06567
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤岡 優子 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 准教授 (80399964)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
オートファジーの始動はPASが担っている。ユビキチン様タンパク質Atg8は、ユビキチン結合系に類似した酵素反応でホスファチジルエタノールアミン(PE)と可逆的に結合し、オートファジーの膜伸長に直接関わる重要な分子である。オートファジーの始動に際してAtg8はPASに移行するが、その意義についてはこれまでわかっていなかった。我々はPASが液-液相分離状態の膜のないオルガネラ(液滴)であることを最近見出した。そして液滴は細胞内における特定の酵素反応の反応場として機能することが知られていることから、PASはAtg8-PE結合反応の反応場として機能するのではないかとの着想を得た。本研究はこれまでの研究に液-液相分離の視点を新たに導入することで、細胞内におけるAtg8結合反応系の真の制御機構を理解し、オートファジーの膜動態解明の一助になることを目的とする。 本年度はAlphaFold2の予測構造をもとに、Atg1複合体液滴(PAS液滴)におけるAtg8-PEの脱脂質化反応制御の分子機構に焦点を当てて様々な解析を行った。PASの足場タンパク質Atg17とE3酵素複合体の構成タンパク質Atg12の複合体構造から、相互作用に重要と思われる残基を同定し、変異実験を行った。その結果、プルダウンアッセイにおいてAtg12とAtg17-Atg29-Atg31間の結合がみられなかった変異体では、液滴へのAtg12の濃縮が起こらないことが明らかになった。また、出芽酵母においても変異体株ではPASにAtg12-Atg5-Atg16複合体が局在しなくなった。これらの実験から、Atg12-Atg17間相互作用がAtg12-Atg5-Atg16複合体をPASに濃縮するメカニズムであることが示唆された。今後は分子間の相互作用をより詳細に検討するために、NMRとITCを利用した解析を合わせて行っていく。
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Research Products
(7 results)