2021 Fiscal Year Research-status Report
サーカディアンリズムによる消化管運動調節機構の解明
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20K06714
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
坂井 貴文 埼玉大学, その他部局等, 学長 (40235114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 一郎 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (80610831)
竹見 祥大 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (70871440)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 消化管運動 / 時計遺伝子 / スンクス / サーカディアンリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、食虫目スンクスを用いて生物リズムと脳腸相関軸の基幹をなすホルモンと自律神経の関連性、すなわち「ウルトラ―サーカディアン」軸の機能連関による消化管運動調節機構を明らかにすることを目的としている。昨年度の検討により、スンクスでは排便時には必ず大腸で強収縮(GMC)が見られることが明らかとなったので、本年度は、スンクス排便と摂食との関連を検討した。自由摂食下で排便は明期よりも活動期である暗期で多く観察され、特に摂食頻度が増加するZT 20-24で高頻度に排便していた。明暗周期は変更せずに給餌時間をZT 1-10に限定する(時限給餌)と、翌日から排便が暗期では減少、明期では増加した。特に、明期後半(ZT 13-18)で排便が多く観察された。さらに時限給餌を4日間継続した後、自由給餌に戻すと、排便はその翌日から暗期で増加し、明期で減少した。また、時限給餌によって排便時間が暗期から明期にシフトした要因を検討するために、大腸での時計遺伝子発現(bmal1, per1, cry1)を定量PCR法で検討した。その結果、自由給餌群でbmal1、per1、cry1はそれぞれZT 24,ZT 12、ZT 18でピークとなる発現リズムを示したが、時限給餌群ではそのリズムが消失した。以上の結果から、スンクスの排便行動は摂食による支配が大きいこと、及び体内時計が関与していることが示唆された。これらの結果は、時差ボケやナイトシフトワークによる大腸運動機能不全の理解に繋がると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
消化管運動については、摂食とGMCの関連が明らかとなり順調に進捗している。遺伝子改変スンクスの作製は様々な方法を試みているが、以前として成功しておらず遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は自発性GMCを惹起する因子の同定を行い、サーカディアンリズムとの関連を検討する。
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Causes of Carryover |
スンクスの繁殖効率が予想より低くなり、想定していた実験動物数より少なくなった。今年度は動物数を増やして再現性の確認を行う実験に使用する。
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