• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2022 Fiscal Year Research-status Report

真核生物の加速度的進化は巨大ウイルスがもたらした-状況証拠から実態解明へ

Research Project

Project/Area Number 20K06772
Research InstitutionSetsunan University

Principal Investigator

松尾 充啓  摂南大学, 農学部, 講師 (70415298)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 小保方 潤一  摂南大学, 農学部, 教授 (50185667)
Project Period (FY) 2020-04-01 – 2024-03-31
Keywords巨大DNAウイルス / 細胞内共進化 / 有殻アメーバ
Outline of Annual Research Achievements

本研究は有殻アメーバから検出された、細胞内共生進化に関連する巨大DNAウイルスの性状を解析することを目的としている。本年度は、ロングリードシーケンサーによって得られた有殻アメーバのゲノム配列の詳しい解析と、ウイルスの単離を試みた。前者については、その配列解析から、有殻アメーバゲノムのサンプルには、数十種類の環状のウイルス性因子が含まれていることが判明した。それらウイルス性因子の配列長は30-500kbと多様であり、配列の特徴から核細胞質性大型DNAウイルス(NCLDV)と呼ばれるDNAウイルスに関連することが示唆された。またDNAウイルスの複製に必要なDNAポリメラーゼの配列は、環状のウイルス様DNAではなく、核ゲノムと思われる直鎖状のコンティグ配列上に存在していた。またNCLDVに広く保存されている他の遺伝子も、特定のウイルス性因子にまとまって存在しているのではなく、複数のウイルス性因子に散らばって存在していることが示唆された。これらの結果から、有殻アメーバのウイルス性因子は、個々で独立して存在しているのではなく、有殻アメーバ内で共同体を形成して、お互いの存在に強く依存していることが推定された。有殻アメーバのウイルス性因子がこのような形で存在していることを明らかにしたのは本研究が初めてであり、現在、その解析結果を論文の形にまとめる作業を進めている。また当初予定していたメタトランスクリプトーム解析の条件検討の過程で、ウイルスDNAが有殻アメーバDNAに比べてサンプル中に残存しやすくなる条件が偶然見つかり、ウイルスの配列を生化学的手法で濃縮できるようになった。現在、この濃縮手法を用いて、ウイルスの精製・解析を進めている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

本研究の目的の一つであった有殻アメーバに感染する巨大ウイルスのゲノム配列の解析については、目標の主要な部分は達成することができた。しかし、もう一つの目的であるウイルス粒子の単離については、当該年度では達成できなかった。その理由として、予想に反してウイルスの有殻アメーバへの再感染が顕著でなく、感染・増殖を介したウイルスの濃縮が難しかったことがあげられる。そのため当該年度では、途中から細胞を破砕してウイルスを分離する生化学的アプローチの実験に切り替えた。結果としてこの切り替えは功を奏し、ウイルス性因子をある程度濃縮できるようになったが、その条件検討に想定以上の時間がかかったため、予定していた解析を年度内に完了することができなかった。またこのウイルス単離実験を優先したため、有殻アメーバの生息環境に関するメタトランスクリプトーム解析も完遂できなかった。これらの状況を総合的に勘案して、進捗状況は遅れていると判断した。

Strategy for Future Research Activity

DNAウイルスのゲノム情報を取得できたので、その解析結果を論文の形にまとめて公表する。また生化学的な濃縮処理によって、ウイルスDNAが比較的多く含まれるサンプルの調製が可能になったので、その濃縮サンプルの電子顕微鏡解析と配列解析を実施する。有殻アメーバが生息する環境のメタトランスクリプトーム解析については、残った助成金の範囲内で実施する。

Causes of Carryover

当該年度においては、ウイルス粒子の電顕解析と配列解読、そして有殻アメーバが生息する環境サンプルのメタトランスクリプトーム解析を予定していた。しかしウイルスの単離実験の条件検討に想定以上の時間がかかり、これらの解析を年度内に実施することができなかった。そのためその解析費用が次年度使用額として残された。次年度使用額は当該年度で実施できなかったこれらの解析の費用に充てる。

  • Research Products

    (1 results)

All 2023

All Journal Article (1 results)

  • [Journal Article] 細胞内共生進化におけるDNA転移のメカニズム2023

    • Author(s)
      松尾充啓、畑貴之、佐藤壮一郎、小保方潤一
    • Journal Title

      細胞

      Volume: 55 Pages: 70-73

URL: 

Published: 2023-12-25  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi