2020 Fiscal Year Research-status Report
How external female genital mutilation evolved in genus Cyclosa?
Project/Area Number |
20K06817
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
中田 兼介 京都女子大学, 現代社会学部, 教授 (80331031)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マルゴミグモ / 飼育方法 / 糸 / 網 / 多化性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度はマルゴミグモCyclosa vallataの室内飼育方法の確立を行った。本種は野外では生け垣の上面など、風によって大きく揺れることが少ない植生に近接して造網することが観察されたので、様々な大きさの飼育ケースの中に、自然状態を模した形で足場を設置し、また背景の色を調整し、またケース内の通風の条件も整えて、採集してきたマルゴミグモを入れ、造網の様子の観察を試みた。しかしながら、様々な条件を変えて試したものの、この方法では、造網に成功した個体は皆無であった。 そこで、園芸用円形支柱を用意し、そこに野外の網を枠糸部分を粘着テープを使って貼り付けることで円網ごと採集することを試みた。クモは別途バイアルに採集し、飼育ケースに網を設置したのちにその上にクモを戻すことを行った。この方法では高い確率で翌日以降に造網が観察された。これにより、飼育下で交接行動を観察する目途が立った。また、造網の基盤となる、野外で採集した網については、必ずしも飼育対象の作った網でなくても構わず、別の個体が作った網を用いた場合であっても、高い頻度で造網が起こることを観察した。このことから、マルゴミグモは、同種の張った糸の存在をキューとして造網の意思決定を行っているものと考えられる。 マルゴミグモの個体数を観察し、本種では4月からと7月から成体が出現することから、おそらく年に二化であろうことが推測された。しかしながら、コロナ禍の影響を受け、個体数調査が不完全であったため、このことについては更なる調査が必要である。 また、交接前後でオスの触肢の形状を比較するために、ギンメッキゴミグモCyclosa argenteoalbaを使って、通常二回の挿入からなる交接を一回の挿入が終った段階で人為的に中断させ、左右の触肢のうちいずれか片方だけを使用したオスを作成し、標本にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
飼育方法の確立に手間取り、一年間を費やしたことで、マルゴミグモの交接行動自体の観察を年度内に行うことができなかった。また、コロナ禍の影響を受け、野外調査についても十分行うことができなかった。更に、国内出張が抑制されたことで、計画していた沖縄での調査やつくばでの分子系統技術の習得ができなかった。これらについては、それぞれ別の方法で今後補うよう研究計画を修正し、研究分担者を増やすことで対応する。
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Strategy for Future Research Activity |
マルゴミグモの飼育方法については、およそ確立できたと考えられるので、これを用いて交接行動の観察を行っていく。ゴミグモ属の分子系統の確立については、研究協力者として計画していた馬場友希博士に研究分担者として参加してもらうことで進めて行く予定である。また、20年度に作成した標本を用いて、オスの触肢の詳細な形状解析を行う計画である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による出張抑制で、研究活動が自宅及び勤務先周辺でのものに限られたため、全般に費用支出の伴う活動が低調だった。特に、旅費の支出と分子系統作成のための試薬の支出はゼロであった。2021年度以降は分子系統作成のために研究分担者として加わった馬場友希博士が試薬代として使用する予定である。旅費については、2021年度以降も支出できる見通しが低いため、触肢の形状解析費用として使用することを計画している。
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