2021 Fiscal Year Research-status Report
How external female genital mutilation evolved in genus Cyclosa?
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20K06817
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
中田 兼介 京都女子大学, 現代社会学部, 教授 (80331031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 友希 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 上級研究員 (70629055)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マルゴミグモ / 飼育方法 / 交尾行動 / 交尾器破壊 / 父性確保 / ゴミグモ属 / 分子系統 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、1)マルゴミグモCyclosa vallataの室内飼育方法の改善、2)その方法に基づいたマルゴミグモの交接行動と交尾器破壊の有無およびその機能についての観察、3)これまでより多くの種を用いたゴミグモ属の分子系統の推定、を行った。 1)については、昨年度行った円形支柱に野外の網を採集してその上で造網させる手法を使わなくても円形支柱のみでも高い頻度で造網を行うことが明らかになった。また造網しない場合でも数本糸を張っていれば直接給餌が可能になることも明らかになり、飼育コストが大きく軽減した。 2)については、全部で17個体の未交接メスで交接行動を観察し、そのうち1個体では1回、16個体では2回の精子の受け渡しが起った。前者ではメス垂体は残存していた一方、後者では垂体が残存していたのは1個体のみであり、15個体で垂体が失われていた。これらの交接済みメスに新たなオスを出会わせ行動を観察したところ、垂体を保持していたメスは2個体ともオスと再交接し、垂体を失っていた。垂体を持たないメスに対しては、オスは求愛しメスはそれに応えてオスに近づき両者の交尾器が接触するところまで進んだが、精子の受け渡しに成功した例はなかった。メスがオスを攻撃することは見られなかった。1回の交接バウトが2回の精子の受け渡しからなること、およそ9割の交接でメスの交尾器が破壊されること、破壊されたメスも求愛を受け入れるが再交接はできないこと。垂体が残っていれば再交接ができる事は、マルゴミグモの交尾器破壊がギンメッキゴミグモのものと類似していることを示唆している。また本年度の観察により、本種は春、夏に加えて10-11月にも成体が現れる年三化性である可能性が示唆された。 3)については、既に得られているデータに加えて、国内種1種、海外の種4種を加えて、最尤法とベイズ法の2通りの方法で再解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度はコロナ禍による制約のため十分行うことができなかった分子系統の推定について、研究分担者として馬場友希氏に加わってもらい、大きく進展させることができた。また、昨年度の成果であるマルゴミグモの飼育技術の確立について、さらに効率的な方法に発展させることができ、それに基づいて一定数のマルゴミグモの交接行動の観察を行うことができた。さらに、2021年度は頻度は十分ではないが、年間を通じた野外観察を行うことができ、マルゴミグモが三化であろうことを示すデータを得た。これらのことから、2021年度の研究はおおむね順調に進展したと評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
マルゴミグモの交接行動については、サンプル数が十分でないので、引き続き飼育を行い観察を継続する。ゴミグモ属の分子系統についても、さらに種数を増やしてより精緻な推定を行っていく。2020年度にオスの触肢の形状解析のための標本を作製しているので、今後はその解析も進めていく予定である。トゲゴミグモの交尾器破壊について、九州大学の研究チームと協力体制を構築しつつあり、こちらも調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度もコロナ禍による出張抑制で研究活動が自宅及び勤務先周辺でのものに限られたため、全般に費用支出の伴う活動が低調だった。特に旅費支出は本年度もゼロであった。元々の研究計画では旅費が研究費の多くを占めていたため、計画通りの支出とはならず次年度使用額が生じた。旅費については2022年度も計画通りには使用できない事が考えられるため、分子系統作成のための試薬代として使用することと、触肢の形状解析のためのパソコン購入に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)