2022 Fiscal Year Research-status Report
How external female genital mutilation evolved in genus Cyclosa?
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20K06817
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
中田 兼介 京都女子大学, 現代社会学部, 教授 (80331031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 友希 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 上級研究員 (70629055)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マルゴミグモ / 交尾器破壊 / 交尾行動 / 父性確保 / ゴミグモ属 / 分子系統 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度に引き続き、1)マルゴミグモCyclosa vallataの交接行動と交尾器破壊の有無(メスの垂体が残存していたか否か)およびその機能についての観察と、2)ゴミグモ属の分子系統から交尾器破壊の進化パターンの推定を行った。1)については、昨年度に得られたデータと合わせることで、未交接メスの交接行動の観察が24例に増加した。そのうち3例で左右いずれかの触肢のみを用いた1回の精子の受け渡しが行われ(そのうち1例は1回目の精子受け渡し後に性的共食いが生じて起こった)、いずれもメス垂体は残存していた。残りの21例では2回の精子の受け渡しが行われ、左右両方の触肢が使用されたと思われる。こちらでは13例でメス垂体は失われていた。他8例では垂体は残っていたものの、そのうち4例では垂体は基部が一部ちぎれて先端が横を向いており、正常な状態ではなかった(垂体破壊メスと呼ぶ)。またもう1例では一度目の交接後には残っていた垂体が再交接までの間に消失していた。残りの3例ではメスの垂体は正常のように思われた。垂体を失ったメスと垂体破壊メス計17個体で再交接が起こるか観察したところすべて失敗したことから、垂体破壊メスは機能的に交尾器破壊メスと同等であると考えられ、交尾器破壊率は0.857 (=18/21)であった。また正常な垂体を持つ交尾済みメス5個体で再交接が起こるか観察したところ、1度目の交接で2回精子を受け取ったメス1個体が失敗したが他の4個体は成功したことから、交尾器破壊には再交接能力を損なう機能があると考えられた。2)では、過去の推定結果であるゴミグモ属内に見られた3つのクレードが海外種を含めた系統解析によっても大きく変わらなかったことから頑健な結果であることが考えられた。そのうち2つのクレード内部で交尾器破壊について変異がある可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マルゴミグモの交接行動については昨年度に引き続いて行い観察例を増やすことができ、基本的に結果は変わらなかったことからその確かさが増したと考えている。また、分子系統結果も頑健であることが示唆され、ゴミグモ属内での交尾器破壊の進化パターンについて、一定の示唆を得ることができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に得た成果を論文化して公表する。また、マルゴミグモクレードに属するトゲゴミグモについても交尾器破壊のパターンの解明を行う。
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Causes of Carryover |
国際学会の参加を取りやめたことや国内学会が一部オンラインであったため旅費の使用額が予定を下回ったこと、また論文作成が遅れたため関連経費の支出がなかったために次年度使用額が生じた。2023年度は調査旅費と論文作成、OA費として支出することを計画している。
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Research Products
(3 results)