2022 Fiscal Year Annual Research Report
ほ乳動物細胞が内包するαシヌクレイン蛋白質の凝集抑制機構の解明
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20K07058
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
高崎 輝恒 近畿大学, 薬学部, 講師 (30615539)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | synuclein / シヌクレイン / パーキンソン病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、パーキンソン病発症の原因として考えられているαシヌクレインタンパク質(αSyn)の凝集化を抑制するメカニズムの解明を目指すものである。αSynは、本来は可溶性のタンパク質であり、αSynの凝集化には遺伝的要素よりも老化による影響が強いと考えられている。しかしながら、αSynは健常者においても豊富に発現しているタンパク質であり、なぜ凝集化が始まるのかは依然として解明されておらず、原因究明が急がれている。 本研究課題の主軸は、分裂酵母を遺伝子改変して作成した「パーキンソン病モデル細胞」に対し、ヒト神経細胞由来のcDNAライブラリを用いて、αSynの凝集抑制因子を探索するところにあったが、残念ながら良好なスクリーニング結果は得られなかった。本年度は、異常タンパク質の除去に関わるオートファジーや、タンパク質の折り畳みに関わる分子シャペロンについての解析も進めたが、αSynの凝集化との顕著な関わりは見出せなかった。一方で、凝集抑制因子のスクリーニング感度を高めるために行った培養条件等の条件検討の過程で、抗てんかん薬(バルプロ酸)の添加が、パーキンソン病モデル酵母の細胞障害(増殖遅延)を増悪させることを見出している。この結果は、抗てんかん薬の使用がパーキンソン病の進行を早める可能性があることを示唆するものである。加えて、本研究では、抗真菌作用をもつ化合物のひとつがαSynの凝集化の抑制にはたらくことを見出し、遺伝学的解析を通じて、エンドサイトーシスのプロセスがαSynの凝集化と深く関わりがあることを見出した。今後、細胞内の膜輸送経路とαSyn凝集化との関わりについての更なる知見の蓄積によって、パーキンソン病の予防薬や治療薬の開発に貢献できると期待される。
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Research Products
(6 results)