2022 Fiscal Year Annual Research Report
膵がん治療を目的としたアルブミン結合性NOラジカル放出型抗がん剤の開発
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20K07193
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
西 弘二 崇城大学, 薬学部, 准教授 (00398249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
異島 優 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 准教授 (00457590)
井本 修平 崇城大学, 薬学部, 教授 (20447189)
山崎 啓之 崇城大学, 薬学部, 教授 (30435143)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膵臓がん / ニトロ化合物 / フェニル酪酸 / 一酸化窒素 / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまでフェニル酪酸(PB)のニトロ化体(NPB)を新規合成し、ヒト膵臓がん細胞に対してNO依存的に有意な細胞死を誘導することを見出している。そこで始めにNPBがin vivoでも抗腫瘍効果を発揮するか検討を行った。興味深いことにNPB(10 mg/kg)は、ヒト膵臓がん細胞BxPC3を皮下移植したマウスに対して、単回投与に関わらず7週間以上の長期的な腫瘍増殖抑制効果を発揮した。次に、このようなNPBの細胞死誘導効果や抗腫瘍効果のメカニズムを明らかにする上で、申請者はNPBのオートファジー阻害効果に着目した。実際、NPBはオートファジーフラックスを評価する蛍光プローブEGFP-LC3-mRFP-LC3ΔGを安定発現する細胞であるHela細胞において、オートファジーを阻害することが確認された。この阻害効果はヒト膵臓がん細胞株であるBxPC3およびPANC1でも確認された。この効果は、飢餓状態のようなオートファジーが亢進している状態では、より強くなるだけでなく、より顕著に細胞死を誘導することが観察された。さらに、腫瘍環境と同様の低酸素環境におけるNPBの効果について検討を行った。BxPC3を低酸素(1% O2)状態で培養したところ、低酸素マーカーであるHypoxia Inducible Factor(HIF)1の発現上昇が見られたが、NPBはこのHIF1の発現を抑制した。さらに、低酸素環境ではオートファジーが亢進されていることが見られたものの、NPBはHIF1の発現抑制を介してオートファジーを阻害することで細胞死を誘導することが観察された。これらの結果から、NPBは腫瘍環境の特徴である飢餓状態や低酸素状態において亢進したオートファジーを阻害することで抗腫瘍効果を惹起することが示唆された。
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Research Products
(2 results)