2021 Fiscal Year Research-status Report
敗血症関連DAMPs拮抗因子HRGの血管保護作用機序の解明
Project/Area Number |
20K07290
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
和氣 秀徳 近畿大学, 医学部, 講師 (60570520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勅使川原 匡 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (40403737)
王 登莉 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (40815693)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | HRG / 細胞死 / 血管内皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
前回、二価鉄が血管内皮細胞の細胞膜脂質過酸化により細胞死を誘導し、HRGはこれをほぼ完全に抑制することを明らかにしていたが、今回更に、ネクロプトーシスに関与するMLKLに対する阻害剤やアポトーシス、パイロトーシスに関与するカスパーゼに対する阻害剤を用いた研究により、二価鉄誘導細胞死はネクロプトーシス、アポトーシス、及びパイロトーシスではないということが明らかとなった。更に、二価鉄の細胞死誘導にはミトコンドリアが中心的な役割を担っていることを明らかにした。つまり、二価鉄はミトコンドリアを障害し、ミトコンドリア膜電位の低下やスーパーオキサイドの産生が引き起こされることにより細胞死が起こっていることが分かった。この結果から、二価鉄はミトコンドリアを障害することで、活性酸素の産生や、細胞エネルギー産生の低下を引き起こし、細胞死が誘導されると推察された。また、HRGはこのミトコンドリア障害をほぼ完全に防ぐことより、HRGの作用点はミトコンドリアより前の段階であることが示唆された。さらに、HRGレセプターと考えられているCLEC1A及びCLEC1Bに対する中和抗体を用いた実験において、HRGの二価鉄細胞死阻害効果は阻害されなかったため、今回のHRG作用にはCLEC1A及びCLEC1Bは関与していないことが明らかとなった。加えて、HRGの血管内皮細胞表面上のグリコカリックスの状態に対する影響に関しては、前回、インビボイメージングにより、マウスの血管内皮細胞表面グリコカリックスの状態を評価した結果、血中のHRGがLPSによるグリコカリックスの剥離を抑制する効果を有することを明らかにしていたが、LPSによるグリコカリックスの剥離が好中球や血小板の血管内皮細胞への接着を促進し、HRGがそれら接着反応を抑制することを新たに明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
5つの大きな研究実施項目(1. HRGレセプターの同定と血管内皮障害との関連性、2. HRGのアポトーシス及びネクロトーシス細胞死への関与、3. HRGのパイロトーシス細胞死への関与、4. HRGのフェロトーシス細胞死への関与、5. グリコカリックスの血管内皮保護効果とHRGとの関連性に関する解析)の内、1に関しては50%、2.に関しては60%、3.に関しては60%、4に関しては90%、5に関しては90%程度進んでおり、順調に研究を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
5つの大きな研究実施項目(1. HRGレセプターの同定と血管内皮障害との関連性、2. HRGのアポトーシス及びネクロトーシス細胞死への関与、3. HRGのパイロトーシス細胞死への関与、4. HRGのフェロトーシス細胞死への関与、5. グリコカリックスの血管内皮保護効果とHRGとの関連性に関する解析)の内、研究を行う部分の多い1-3に注力すると共に、4と5に関しては早期に研究の完了を目指す。
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Research Products
(3 results)