2022 Fiscal Year Research-status Report
ながはまコホートおよび佐渡コホートのゲノム情報解析による、尿酸値関連変異の探索
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20K07316
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
三澤 計治 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (10525885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三島 英換 東北大学, 大学病院, 助教 (00706939) [Withdrawn]
日笠 幸一郎 関西医科大学, 医学部, 教授 (10419583)
大内 基司 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (20409155)
安西 尚彦 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (70276054)
横関 明男 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任准教授 (90515719)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 尿酸値 / 痛風 / コホート研究 / 統計検定 / カーネル / 遺伝子フュージョン / 分子進化 / 尿酸トランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題は、個人が生まれながらに持つ遺伝的な要因と、個人が生活している環境の要因の相互作用を解明し、より効果的な治療法の開発に貢献することを目標としている。そのため、統計的な手法やバイオインフォマティクスの手法を用いて解析する手法の改良を行なっている。 尿酸トランスポーターURAT1は、腎臓で尿酸の再吸収を担当しており、ヒトの尿酸値に重要な影響を与えている。尿酸値に対する遺伝的要因を定量的に評価するためには、URAT1に及ぼす変異の影響を正確に推定しなければならない。URAT1タンパク質の尿酸取り込み量の測定は、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)の卵母細胞を用いて行われる。アフリカツメガエルのゲノム中にはSLC22A12遺伝子が見つかっていない。この研究では、尿酸取り込み量の正確な測定のために、SLC22A12遺伝子がアフリカツメガエルに存在しないことを確認した。 まず、さまざまな生物種から取得したSLC遺伝子族の配列に対し、SLC22A12遺伝子のホモロジーサーチを行った。その結果、SLC22A12遺伝子は、起源の異なる複数の遺伝子の遺伝子フュージョンにより生じたことが示唆された。遺伝子フュージョンとは、複数の遺伝子が融合して新しい遺伝子が生まれ、新たな機能を持つタンパク質が生じる現象である。 SLC22A12遺伝子がアフリカツメガエルで見られない理由は、哺乳類と両生類の祖先が分岐した時点では、まだSLC22A12遺伝子を生み出す遺伝子フュージョンが起こっていなかったためと推定される。この成果から、アフリカツメガエルを用いた尿酸取り込み能力の推定は正確であることが予想される。この研究成果は現在、投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請課題で開発された統計解析の手法の論文を投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年は、ゲノムワイド関連解析と統合解析を行う。 ゲノムワイド関連解析: 大規模なゲノムデータセットを用いて、疾患と遺伝子座の関連性を統計的に評価する。その際に、本申請課題で開発された統計解析手法を適用し、新たな疾患関連変異を同定する。 統合解析: 公共データベースで得られる機能予測データなどを用い、疾患関連変異の機能的な解釈を行う。統計解析手法を適用し、遺伝的要因と環境要因の関連性をより詳細に明らかにする。 これらの手法を用いることで、既存の知識にない新たな疾患関連変異を発見し、遺伝的要因と環境要因の関連性を探求する。
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Causes of Carryover |
論文執筆および投稿が遅れたため、2022年度に支出予定だった論文出版費用を2023年度に支出する予定である。
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