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2021 Fiscal Year Research-status Report

中皮間葉転換を起点とする播種微小環境形成メカニズムの臓器横断的解明

Research Project

Project/Area Number 20K07380
Research InstitutionTeikyo University

Principal Investigator

菊地 良直  帝京大学, 医学部, 准教授 (90512260)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywords中皮間葉転換 / ペリオスチン / がん関連線維芽細胞 / 播種 / がん微小環境 / 胃癌 / 大腸癌 / 胸腔洗浄液
Outline of Annual Research Achievements

前年度までの研究成果で中皮間葉転換(以下MMT)の誘導の差異がみられた胃癌および大腸癌に関して、腫瘍が漿膜面に露出する原発巣および播種巣の病理組織標本を用いた免疫組織化学的検討を詳細に行った。MMTのマーカーとして、αSMAとカルレチニンを用いて検討した結果、MMTの誘導は胃癌原発巣で31.0%(9/29症例)、大腸癌原発巣で85.7%(30/35症例)でみられた。播種巣では胃癌播種巣で15.1%(6/39結節)、大腸癌播種巣では43.2%(16/37結節)でみられ、原発巣、播種巣ともに大腸癌で有意に多くみられた。さらに播種巣の部位別評価でも、大網・小網では胃癌1/6結節, 大腸癌4/5結節、腸管膜・腸管漿膜では胃癌3/9結節,大腸癌9/12結節,その他の横隔膜やダグラス窩以外の漿膜では,胃癌4/24結節,大腸癌11/17結節でMMTがみられ,同じ部位に播種した場合でも大腸癌で有意にMMTが観察された。MMTに関しては中皮細胞のマーカーであるWT-1の免疫染色でも確認した。原発巣の解析結果は、胃癌と大腸癌のシングルセルシークエンスの公開データを用いた解析によっても確認された。播種微小環境におけるMMTに関する研究は主に胃癌や卵巣癌で行われてきたが、大腸癌がこの機序を用いて播種微小環境を形成している可能性が示唆された。
前年度までの研究で中皮細胞の増殖促進を誘導することが示されたペリオスチンに関して、肺癌手術時胸腔洗浄液中のタンパク濃度を計測した。遠心後洗浄液上清中に含まれるエクソソームを抽出し、エクソソーム内ペリオスチン濃度を計測した結果、細胞診で肺癌細胞陽性となった症例において有意に高い結果が得られた。胸腔播種巣でのMMT誘導部においてもペリオスチンの発現が確認されていることから、播種予測のマーカーおよび中皮間葉転換誘導因子の候補として今後の研究を進める方針となった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

胃癌と大腸癌における中皮間葉転換に興味深い違いが見出された。また胸腔内の中皮間葉転換誘導因子の候補として、エクソソーム内ペリオスチンを見出した。これらの結果から、今後の研究の方針を定めることが可能となった。

Strategy for Future Research Activity

胃癌と大腸癌の原発巣および播種巣に関する中皮間葉転換の誘導の差異に関して詳細に検討する。その他の中皮マーカーおよび上皮間葉転換マーカーを免疫組織化学的に検討し、またこの違いが生じる理由を調べるため、実験動物を用いた腹腔播種実験を行う。ごく最近報告された中皮間葉転換に関する研究論文(Cancer Cell 2022;40:1-18)で中皮細胞の標識法が確立されたため,この手法を用いて胃癌と大腸癌の細胞株を用いた播種実験を実施する。またこの研究報告では膵癌の中皮間葉転換が証明されているため、我々の研究室で既に作製済みの膵癌tissue microarrayを用いて、病理組織材料を用いた中皮間葉転換の免疫組織化学的検討を行う。
胸腔播種に関する中皮間葉転換誘導因子の候補として着目しているエクソソーム内ペリオスチンに関しては、機能解析実験を行う。ペリオスチンは分泌タンパクであり、レセプターとしてインテグリンが知られているが、エクソソーム内因子は細胞膜上のレセプターを介さずに細胞内に直接作用する可能性がある。そのため、リコンビナントペリオスチンとエクソソーム内ペリオスチンのカスケードの違いに着目し、中皮細胞株に双方を作用させて、miroarrayを用いた網羅的解析を行う方針である。

Causes of Carryover

当該年度は、多数症例を用いた病理組織材料の免疫組織化学的検討を行い、その研究成果が得られた。当初の予定よりいくつか興味深い知見が得られたため、その探索がメインとなったが、研究費としては細胞実験や実験動物を用いた移植実験まで実施することが出来なかったため、予定していた使用金額とならなかった。これまで得られたデータを元に、次年度は予定通り細胞実験および実験動物を用いた移植実験を行い、ここに研究費を使用する予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2022

All Journal Article (1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 【エピジェネティクスと病理】microRNAと腫瘍微小環境2022

    • Author(s)
      菊地良直,宇於崎宏
    • Journal Title

      病理と臨床

      Volume: 40 Pages: 136-141

  • [Presentation] 胃癌と大腸癌の原発巣および播種巣における中皮間葉転換の誘導2022

    • Author(s)
      渡部朱織,菊地良直,藤倉睦夫,渡邉雅人,加藤雅弘,宇於崎宏
    • Organizer
      第111回日本病理学会総会(神戸)

URL: 

Published: 2022-12-28  

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