2023 Fiscal Year Annual Research Report
Quantitative Modeling for the Neural Basis of Mathematical Ability
Project/Area Number |
20K07718
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
中井 智也 帝京大学, 先端総合研究機構, 客員研究員 (60781250)
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Project Period (FY) |
2022-01-04 – 2024-03-31
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Keywords | 数学 / 人工ニューラルネット / fMRI / 頭頂間溝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ヒトが数学を生み出し、計算を実施する際の脳情報処理に関する定量的モデルを構築することである。その目的のため、昨年度まで主に脳機能データに基づく研究を実施していた。それに対し、今年度は背後にある理論研究に焦点を当てた。 まず、理論言語学の専門家である松本大貴博士と共同研究を実施し、言語理論における統語解析が他の記号システムである数学に対して応用した。単純な足し算や引き算などに加え、記号代数や微分積分などの数式表現に関しても言語と同様の理論が適用できることを示した。この結果はCognitive Psychology誌に発表された(Matsumoto & Nakai, Cognitive Psychology 2023)。 さらに、フランスのリヨン神経科学研究センターのJerome Prado博士との国際共同研究により、最新の機械学習技術を利用して脳データから数学能力や言語能力の個人差、学習の効果および学習障害を予測する研究に関する総説論文を執筆し、PsyArXivに公開した(Nakai & Prado, PsyArXiv 2023)。この研究は現在国際誌において査読中である。 また、昨年度までに得られた数学に関する脳機能モデル研究を他の認知機能との関係を含めて拡張するため、脳情報通信融合研究センターにおいて、43名の被験者を対象として文章理解課題と数式計算課題を実施している最中の脳活動を測定した。現在そのデータを解析中である。 日本神経回路学会およびヒト脳イメージング研究会におけるポスター発表、およびフランスのLaPsyDE研究所において招待講演を行うことを通じ、昨年度までの成果を広く専門家に紹介した。
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