2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K07784
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松井 尚子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任助教 (10547954)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 重症筋無力症 / 胸腺 / 胸腺上皮細胞 / 濾胞性ヘルパーT細胞 / プラズマブラスト / 治療抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
重症筋無力症(Myasthenia Gravis, MG)患者胸腺と末梢血におけるB細胞異常パターンの検索(令和元年~令和2年度:研究活動スタート支援)と並行して、濾胞性ヘルパーT細胞(Tfh)の検索を行った。 コントロール(健常者)20名とMG患者(免疫治療前)20名の血液より末梢血単核球を分離した。また、心臓手術(小児15名と成人10名)もしくは胸腺摘出術を受けた(MG非合併の胸腺腫患者12名とMG患者25名)際に摘出された胸腺より胸腺細胞を単離した。B細胞サブセット(ナイーブB細胞、メモリーB細胞、プラズマブラスト、B220high Thymic B細胞、Tf細胞: CD3(+)CD4(+)CXCR5(+)PD-1(+),もしくはCD3(+)CD4(+)CXCR5(+)ICOS(+)をフローサイトメトリーで解析した. 末梢血単核球および胸腺細胞中のB細胞サブセットやTfh細胞と臨床像、ステロイドによる影響について検討した。術前にステロイド治療を受けたMG群ではステロイド未治療のMG群と比べて胸腺中のTfh細胞が有意に減少していたが, プラズマブラストの割合に差異を認めなかった. 末梢血や胸腺中のTfh細胞と臨床像には有意差がみられなかった。MG患者では末梢血と胸腺共にプラズマブラストが増加しており, 末梢からB細胞が胸腺に移入している可能性が高い. MG患者ではステロイド投与後も, 胸腺摘出術がプラズマブラストの減少を通じて症状の安定に寄与する可能性がある. 第21回日本神経免疫学会学術集会(2020年)にて成果発表を行い、現在MG 患者におけるB細胞サブセットとTfh細胞に関連した論文を投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでコントロール(健常者)10名とMG患者16名(治療反応例8例、治療抵抗例8例)の血液より末梢血単核球を分離し、フローサイトメトリーによるCD3(-)CD19(+)CD27(+)IgD(-)クラススイッチメモリーB細胞、CD3(-)CD19(+)CD27(+)CD180(-)CD38(+)プラズマブラスト、 CD3(-)CD4(+)CXCR5(+)PD-1(+)Tfh細胞、CD3(-)CD4(+)CXCR5(+)ICOS(+)Tfh細胞の解析を進めている。治療抵抗例は標準的な免疫療法(ステロイド、免疫抑制剤)に加え、疾患のコントロールのために定期的に免疫グロブリン大量静注療法を必要とする患者と定義した。さらに、末梢血において、プラズマブラストなどの細胞サブセットが治療抵抗性と関連のあるバイオマーカーとなりうるか検討する予定である。 これまで、コントロールの胸腺上皮細胞を用いたRNAシークエンス解析により、髄質胸腺上皮細胞(mTEC)と皮質胸腺上皮細胞cTECの単離が概ね成功していることを確認していた。今回の胸腺上皮細胞の解析では、先行研究と異なりmTEC関連の抗体として、claudinではなく、RANKを用いたが、特に単離の精度に大きな変化はみられなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
RNAシークエンス解析による網羅的遺伝子発現解析を行い、異常のある遺伝子発現を確認する。また、成人の胸腺では単離できる細胞数が少ないため、シングルセル解析を目指した精製法の確立も行っていく予定であったが、より確実に細胞単離が可能な、MG非合併の胸腺腫とMG合併の胸腺腫を用いたRNAシークエン解析を進めることとした。
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Causes of Carryover |
これまで胸腺や末梢血におけるリンパ球の解析を中心に進めてきた。今後は、MGの胸腺上皮細胞で異常のある遺伝子発現を確認するため、RNAシークエンス解析を行う予定にしており、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(3 results)