2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K07784
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松井 尚子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (10547954)
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Project Period (FY) |
2022-01-04 – 2024-03-31
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Keywords | 重症筋無力症 / 胸腺上皮細胞 / プラズマブラスト / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの胸腺上皮細胞のRNAシークエンス解析やB細胞の解析を行うことで、重症筋無力症(Myasthenia Gravis, MG)の免疫学的背景を明らかにし、バイオマーカーを探索する。 まず、新生児を含む幼児の胸腺上皮細胞を単離し、RNAシークエンス解析による網羅的遺伝子発現解析を行い、ヒトの髄質胸腺上皮細胞(mTEC)や皮質胸腺上皮細胞(cTEC)の特異的とされる遺伝子発現を確認した。また効率的なmTECとcTECの単離方法を確立し、論文投稿中である。 次に、健常16名とMG患者21名の末梢血、心臓手術25名もしくは胸腺摘出術を受けた37名の胸腺を用い、末梢血単核球と胸腺細胞を分離した。フローサイトメトリーにより、濾胞性ヘルパーT細胞やプラズマブラストを解析した。MG患者の末梢血と胸腺ではプラズマブラストの割合が増加していた。また、MG患者の胸腺ではプラズマブラスト中のCXCR-5の発現が増加し、プラズマブラストの割合はMGの重症度と相関を示した (Yamamoto Y, Matsui N, et al. Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm 2021)。 その後、MG患者を非難治例と難治例にわけ、プラズマブラストの割合をみたところ、非難治例と難治例間に有意差はなく、難治例では高めの群と低めの群に分かれた。さらにB細胞の分化・増殖に関わるサイトカインについてマルチプレックスアッセイを行ったところ、難治例の一部ではIL-6の上昇を認めた。視神経脊髄炎に対してIL-6阻害剤であるsatralizumabが承認されており、MGでも臨床試験が進行中である。今後さらにサンプルを追加し、検証を行うことで、難治MG患者における個別化医療を目指したい。
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