2021 Fiscal Year Research-status Report
To improve quality of cancer gene panel tests by strategic implementation of external quality assessment scheme
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20K07823
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
前川 真人 浜松医科大学, 医学部, 教授 (20190291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西尾 和人 近畿大学, 医学部, 教授 (10208134)
坂井 和子 近畿大学, 医学部, 講師 (20580559)
岩泉 守哉 浜松医科大学, 医学部, 助教 (60444361)
谷 重喜 浜松医科大学, 医学部, 教授 (80217116)
中谷 中 三重大学, 医学部附属病院, 教授 (80237304)
松下 一之 千葉大学, 医学部附属病院, 准教授 (90344994)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | がん遺伝子パネル検査 / 外部精度評価 / EQA / 検査の質保証 / 次世代シークエンサー / バイオインフォマティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦で行われている次世代シークエンサー(NGS)を用いたがん遺伝子パネル検査の結果の妥当性の評価が不十分で、世界的に見ても立ち後れているため、その実態を調べるための外部精度評価(EQA)を、ヒトの実試料(がん組織と血球細胞)を調査試料として施行した。5例(肺がん2例と大腸がん3例)を準備し、15施設が参加した。なお、今回は純粋にNGSの技能を評価したいことから、FFPE内の細胞の多様性と核酸抽出による影響を避け、NGS解析のみを評価するために、 がん組織と血球細胞から抽出したDNA溶液を配布した。重要な遺伝子異常は、後からサンガー法によるシークエンス、コンパニオン診断薬で分析、デジタルPCRでアレル頻度の測定を行った。また、症例によっては免疫染色やマイクロサテライト不安定性の解析、メチル化解析など、症例の特性に応じた解析を加えて、正解となる遺伝子異常をブラッシュアップした。 治療に影響する遺伝子異常、それ以外のがん関連遺伝子異常の報告、遺伝子異常のアレル頻度などについて調べた結果、多くの参加施設で適切に遺伝子異常を指摘できていたが、5例の中に、近接した箇所に変異があった場合にバイオインフォマティクスで弾かれたり、欠落変異を検出できなかったり欠落場所がずれたりした施設があった。遺伝子異常のアレル頻度は、試料によって、また種類によって差があった。ライブラリ作製法の違い、がん細胞のみか正常血球細胞とのペア解析かという測定プラットフォームも影響していると考えられた。 本邦で実試料を用いたEQAは初めてであり、がんゲノム検査の精確性を知る上で貴重な経験となった。また、EQAは自施設の分析法の利点・限界を知り、改善していく上でも必須であると再認識することができた。本成果は学会発表、並びに論文発表を年度内に行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
5症例を調査試料として15施設に参画してもらい、EQAを実施した。人工的に既知の変異をスパイクしたり、混合したりの資料ではなく、実際の患者さんのがん組織と血球細胞から抽出したDNAを配布したので、核酸抽出法の差による核酸の品質による違いがない状況で、NGSの分析プロセスとバイオインフォマティクス解析という、がん遺伝子パネル検査のキモとなるプロセスに特化した評価ができた。また、実試料を用いたことによる正解となる遺伝子異常をNGSだけでなく、サンガーシークエンス、コンパニオン診断薬での測定、デジタルPCR、免疫組織染色、マイクロサテライト不安定性解析、メチル化解析などを駆使して作成した。学会発表では反響は大きく、英文論文も発表できた。
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Strategy for Future Research Activity |
がん遺伝子パネル検査のEQAの普遍化についての検討を行っているが、基本的には、学会、日本版CDC、もしくは民間企業との協力で行うのがよいと考える。日本臨床検査医学会からの委員として、日本病理学会との協同で、「がんゲノム検査全般に関する検査指針」を策定したが、ここにもEQAの重要性を謳っており、EQAの実施を企業と企画している。EQAまで海外のツールに頼っていると、SARS-CoV-2の検査のように、ないないづくしで右往左往してしまう。 調査試料として、ウェットな試料ではなく、FASTQファイルなど、バイオインフォマティクス解析に焦点をあてたEQAについても企画・検討したいと考える。 2021年8月に、循環血中の腫瘍由来DNA(ctDNA)のがん遺伝子パネル検査が保険償還された(FoundationOne Liquid CDx がんゲノムプロファイル)。 これにより、日本人の検体は全て米国に送られ検査が行われる状況になった。便利にはなったが、日本の技術力の進歩にはつながらない。また、検査の質がどうなっているのかは全くわからず、調べる術がない。我々は、日本臨床検査振興協議会で、「リキッドバイオプシーによる循環血中の腫瘍由来DNA(circulating tumor DNA; ctDNA)検査の質保証に関する見解」を策定した。血漿を試料としたctDNAのがん遺伝子パネル検査についてもEQAを検討していきたいと考えている。プロファイル)
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Causes of Carryover |
昨年度に続くコロナ禍のため、打合せや資料収集、報告会の開催などに計上していた旅費や会議室の経費等が浮いたため、今年度に未使用分が出てしまった。 研究計画はほぼ順調に進んでおり、本研究の最大の目的は既に達成した。あと1年で行う検討内容として、3つを計画したいと考えている。1つめとして、民間企業との連携でEQA実施を行うこと、2つめとして、次世代シークエンサーから得られるFASTQファイルを配布して、バイオインフォマティクス解析のEQAを実施すること、3つめとして、ctDNA検査のEQAの方法を立案することである。 本研究で得られたEQAの成果や新型コロナウィルス感染症の病原体核酸検査のEQAの成果から、遺伝子関連検査についてもEQAを実施することは重要である。上記の3つの目標を実施するために、残っている研究費を最大限、有効に使用したいと考える。
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Research Products
(27 results)
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[Journal Article] Precision cancer genome testing needs proficiency testing involving all stakeholders.2022
Author(s)
Maekawa M, Taniguchi T, Nishio K, Sasaki K, Matsushita K, Nakatani K, Ishige T, Ikejiri M, Nishihara H, Sunami K, Yatabe Y, Hatanaka KC, Hatanaka Y, Yamamoto Y, Fukuyama K, Oda S, Saito K, Yokomura M, Kubo Y, Tanaka Y, Fuchioka M, Yamasaki T, Matsuda K, Kurachi K, Funai K, Baba S, Iwaizumi M
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Journal Title
Sci Rep.
Volume: 12(1):1494.
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Diagnostic and prognostic significance of serum angiopoietin-1 and -2 concentrations in patients with pulmonary hypertension2021
Author(s)
Enomoto N, Suzuki S, Hozumi H, Karayama M , Suzuki Y, Furuhashi K, Fujisawa T, Nakamura Y, Odagiri K, Ishikawa T, Kataoka K, Kondoh Y, Maekawa M, Inui N, Watanabe H, Suda T
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Journal Title
Sci Rep.
Volume: 11(1):15502.
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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