2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K07843
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
条 美智子 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (80432110)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | リンパ管 / 漢方薬 / 五苓散 / 内皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
五苓散とその最も多く含まれる成分であり、リンパ管のポンプ機能を急性的に変化させる沢瀉は、VEGFCの主な受容体であるVEGFR3タンパク質発現量を有意に上昇させた。このことについては、五苓散が生体内のリンパ系に影響を与えることを裏付けるものであり、この影響に寄与しているのが沢瀉である可能性がある。五苓散と沢瀉に含まれる活性化合物がリンパ管内皮に直接刺激をするのか、あるいは生体内でリンパ管内皮に間接的に作用し他の細胞系に影響を与えることによってリンパ管に間接的に影響を与えていると思われる。五苓散の成分は、抗炎症作用を有することが報告されており、腸間膜リンパ管を通過することが知られている免疫細胞に影響を与え、ポンプ作用に間接的に影響を与えている可能性がある。また、ヒト皮膚リンパ管内皮細胞(HDLEC)に五苓散を投与し、プロテオームを網羅的に解析した結果、タンパク質グループXの発現量が高いことを確認した。発現量の高かったタンパク質についてウエスタンプロット法を用いて検討した結果、五苓散の構成成分の一つにおいて、タンパク質Xの発現量が有意に高かった。タンパク質Xはミトコンドリア翻訳やrRNAの安定性維持に関与するため、リンパ管の活性化に影響を及ぼす可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
五苓散の成分は、抗炎症作用を有することが報告されており、腸間膜リンパ管を通過することが知られている免疫細胞に影響を与え、ポンプ作用に間接的に影響を与えている可能性がある。さらに五苓散やその構成生薬の様々な化合物が、腸管関門を通過してリンパ系に入り、リンパ管に活性を及ぼすことができるという結果を得ている。また、プロテオーム解析によりリンパ管活性化に関与す津候補分子を新たに得た。
|
Strategy for Future Research Activity |
プロテオーム解析より得たリンパ管活性化に関わる分子について、リンパ管およびヒト皮膚リンパ管内皮細胞を用いて詳細な分子メカニズムを解析する。
|
Causes of Carryover |
今年度にウエスタンブロットや免疫染色に用いる各種抗体や試薬を購入しなかったため未使用額が生じた。未使用額は次年度に用いる各種抗体や試薬の経費に充てることとしたい。
|