2021 Fiscal Year Research-status Report
肝動脈塞栓術後のガン微小環境におけるマクロファージ極性制御に基づく新規治療戦略
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20K08133
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
上嶋 英介 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (40645561)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 豊 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10441247)
児玉 大志 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (20422834)
祖父江 慶太郎 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (90622027)
村上 卓道 神戸大学, 医学研究科, 教授 (20252653)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肝動脈塞栓術 / 肝細胞癌 / TKI / 腫瘍免疫微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
luciferase遺伝子導入N1S1ラット肝癌細胞を用いて同種移植肝癌モデルを作成した。腫瘍移植後7日目に頸動脈より細経のマイクロカテーテルを挿入し、肝動脈を選択し、破砕したゼラチン物質にて腫瘍動脈の塞栓術を行った。さらに1週間後にIVISにて腫瘍壊死および残存組織の発光をIVISにて確認した。その後、Sacrificeを行 い、肝癌移植・辺縁部をまとめて摘出し、組織切片を作成、免疫染色を行った。CD68およびCD206抗体による免疫染色にて、M1型の炎症性マクロファージとTGF- β1産生細胞が集積する腫瘍関連マクロファージの多寡を評価した。動脈塞栓群では、CD206陽性の腫瘍関連マクロファージ(=TAM)の割合(CD206/CD68)が有意に増加し、Lenvatinib投与群では有意に減少していた。また、PPFEよりmRNA抽出を行い、microarrayによる網羅的遺伝子解析を行った。TAE群ではTAMに関与する遺伝子群の発現が増加傾向にあり、これらはLenvatinib併用群では減少する傾向にあった。TAEにより生じた腫瘍免疫微小環境のTAM増加に向かう変化がLenvatinibにより修正されうる可能性が示唆された。ついでラット脛骨より骨髄細胞を採取し、M-CSF投与によりマクロファージへと分化させた。同骨髄由来マクロファージとN1S1細胞を用いてマクロファージ極性変化を評価した。Lenvatinibとマクロファージのみに投与しても極性変化は見られなかったが、N1S1のConditioned mediumを加えるとマクロファージ極性変化が生じ、Lenvatinib投与により改善が見られた。よって、Lenvatinibはマクロファージに作用するのではなく、腫瘍細胞に作用し、その結果、腫瘍より放出されるサイトカインによりマクロファージ極性変化が生じることが予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験開始当初はCOVID-19による緊急事態宣言の影響で、研究施設に立ち入ることができず実験の開始時期が遅くなったが、実験を再開し順調に進行している。当初予定していたCSF1R阻害薬等でのマクロファージ極性変化は困難であったが、代替案としてTKIにて腫瘍免疫微小環境を変化させることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
腫瘍より放出されるサイトカインの増減をLenvatinib投与の有無により評価する。その上で、解析結果をまとめ各種学会、論文発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響のため、学会発表を控えていたことが理由と考える。次年度は積極的に学外への結果の公表に努める。
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