2020 Fiscal Year Research-status Report
新規リンネットワーク破綻がもたらす栄養障害の分子機序解明
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20K08637
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
宮本 賢一 龍谷大学, 農学部, 教授 (70174208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬川 博子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (70325257)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リン / 慢性腎臓病 / FGF23 / 栄養 / ATP / NAD / カルシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腎臓病 (CKD)の進行や透析患者の生命予後においてリン酸(以下リン)コントロールは非常に重要な役割を演じている。また、その破綻は、各組織のエネルギー代謝、特に NAD代謝と深くリンクしており、CKDにおける栄養障害 (PEW)の原因とも予想される。本研究では、 CKDや透析患者における新規リンネットワーク破綻(Nampt/NAD/TMD2あるいは TM2D)の分子機序について研究を推進する。これまでの研究で、本システムは消化管―腎臓、腎臓 ―肝臓および腎臓―骨格筋を結ぶ新規リンネットワークと予想される。令和2年度においては、 TMD2 (or TM2D)ノックアウトマウス (TMD2-KO)における表現型の解析に加えて、 CKDモデルを作製し (5/6 NX)、ミネラル代謝(カルシウム・リン出納試験、組織病理)の解析を中心に実施した。まず、動物用代謝ケージを用いて、 TMD2-KOマウスのリン代謝や栄養指標に関して検討を行った。TMD2-KOでは、血中FGF23濃度の顕著な上昇が観察された。しかし血中リン濃度に顕著な低下は観察されなかった。また、活性型ビタミンD濃度の低下傾向、および腎臓での Klothoタンパク質の有意な減少が見られた。一方、筋肉(骨格筋)内 ATP/ADPサイクルにおけるリンの役割とカルシウムシグナルに一部、変化が観察された。また、in vitroでのTMD2の役割は、腎臓および筋肉など細胞膜あるいは細胞間隙を介するリン輸送分子に影響を与え、細胞内 NADや ATP濃度に作用している可能性が示唆された。またTMD2と相互作用するタンパク質の解析では、エネルギー代謝に関与する複数の興味深い分子との相互作用が予想された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、新型コロナウイルスの影響で、一部予定していた実験が推進できなかった。特に、実験を担当する大学院生の自宅待機など、多くの問題が発生した。本プロジェクトは、龍谷大学と徳島大学との共同で実施している。動物実験で、TMD2-KOマウスと Nampt-KOマウスの代謝ケージを用いたエネルギー代謝測定の実験などを、令和2年5月~8月で徳島大学の瀬川博子先生グループが予定を組んでいたが、コロナ感染による自粛のため、延期を余儀なくされた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度においては、研究計画に従い、昨年度、実施できなかった実験、動物実験、特に、TMD2-KOマウスと Nampt-KOマウスのエネルギー代謝測定の実験などに集中して研究を推進する。また、コロナ感染問題が継続している場合には、オンラインなどを活用して効果的な研究計画を立案し、より安全な実験システムを考案する。
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Causes of Carryover |
新型コロナ問題で、一部の予定していた実験ができなかった。そのために、使用額に変更が生じた。今後、実施できなかた実験を本年度予定している。
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Research Products
(5 results)