2020 Fiscal Year Research-status Report
ヒトiPS細胞由来メラノサイトでの白斑治療・悪性黒色腫解明・美白物質の研究
Project/Area Number |
20K08660
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
川上 民裕 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (20297659)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | メラノサイト / iPS細胞 / 白斑 / 悪性黒色腫 / 美白物質 / ケラチノサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
1.ヒトiPS細胞の培養維持 京都大学iPS細胞研究所(CiRA)、理化学研究所よりヒトiPS細胞(1383D6 HPS1006)を入手して、培養の維持をしている。さらにかつて本研究に使用した健常人成人男性(40歳日本人)からの採血により獲得したTリンパ球由来のヒトiPS細胞を再度、入手をすすめている。 2.ヒトiPS細胞をメラノサイトへ誘導 Stem cell factor・BMP4・Wnt3a・ET1・bFGF・αMSH・DBcAMP・チロシン・トランスフェリン・アスコルビン酸・活性型ビタミンD3など特許を取得した独自培地であるHuman iPS cell-derived melanocyte medium (iDMM)を使用し、メラノサイトへの誘導をすすめている。2週間の短期間でCiRAから購入したヒトiPS細胞をメラノサイトに変化させることができた。 3.ヒトiPS細胞由来メラノサイトの検証 DNAマイクロアレイでの網羅的遺伝子発現プロファイルで正常メラノサイトとの相同性が非常に高いことを証明した。RT-PCRを使用して、Pax3、NANOG(iPS細胞マーカー)、Mitf、Kit、チロシナーゼ、Trp-1、Trp-2(メラノサイトマーカー)の発現レベルを確認している。 4.美白化粧品の主成分物質の作用を検証 美白化粧品のコウジ酸以外の候補物質を検証している。しかし、メーカーとの協力体制が充分構築されていない。 5.ヒトiPS細胞由来メラノサイトとケラチノサイトとの共培養 正常ヒトケラチノサイトとの共培養を行った。細胞数の条件は、メラノサイト1に対してケラチノサイト10であり、培養液はメラノサイト培養液1に対してケラチノサイト培養液2が、最も良好であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.ヒトiPS細胞の培養維持 京都大学iPS細胞研究所(CiRA)、理化学研究所よりヒトiPS細胞(1383D6 HPS1006)を入手・培養の維持は予定通りである。さらにかつて本研究に使用した健常人成人男性(40歳日本人)からの採血により獲得したTリンパ球由来のヒトiPS細胞を再度の入手は進んだ進展と理解している。2.ヒトiPS細胞をメラノサイトへ誘導 2週間の短期間でCiRAから購入したヒトiPS細胞をメラノサイトに変化させることができた。特許を獲得した独自培地(Human iPS cell-derived melanocyte medium;iDMM)は、数週間でヒトiPS細胞から成熟したヒトメラノサイトが産生される。開発はすすみ、advanced iDMMが完成し、ヒトiPS細胞をadvanced iDMM で培養することで、たった2週間でメラノサイトに分化誘導することに成功した。 3.ヒトiPS細胞由来メラノサイトの検証 RT-PCRを使用は安定した実験系となった。 4.美白化粧品の主成分物質の作用を検証 美白化粧品のコウジ酸以外の候補物質を検証している。しかし、メーカーとの協力体制が充分構築されていない。 5.ヒトiPS細胞由来メラノサイトとケラチノサイトとの共培養 正常ヒトケラチノサイトとの共培養を行った。細胞数の条件は、メラノサイト1に対してケラチノサイト10であり、培養液はメラノサイト培養液1に対してケラチノサイト培養液2が、最も良好であることを確認した。この実験系は、臨床に近い状態といえる。皮膚生検からメラノサイトを分離し、培養で大量産生されることは困難な技術とされている。しかし、患者からのメラノサイト単離培養 白斑患者の皮膚生検による皮膚採取から、メラノサイト単離培養に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
1 白斑患者の採血からのヒトiPS細胞の樹立を目指す。 2 白斑患者の皮膚生検による皮膚採取から、メラノサイト単離培養に成功した。すなわち、皮膚採取メラノサイト単離培養細胞株が確立したので応用していく。 3 ヒトiPS細胞由来メラノサイトと皮膚採取メラノサイト単離培養細胞を比較検証する。対象は、A)メラニン生成能評価 B)メラノソームトランスファー評価 C)過酸化水素耐性能評価(MTSアッセイ) D)過酸化水素消去能評価(培養細胞を用いたオリジナル評価法) E)RNA抽出からのシークエンス解析 以下、オプションとして、・ATP産生能評価 ・解糖能(乳酸産生能)評価 ・グルコース消費量評価 ・メラノサイト活性化剤(胎盤エキス)の有用性評価
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Causes of Carryover |
当初予定していた研究補助員への支払予定金額よりも、実際の支出金額が下回った。 研究の進捗自体は順調であるため、来年度も引き続き研究補助員への支出金額として使用を続けていく。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Relationship between lysosomal-associated membrane protein-2 and anti-phosphatidylserine/prothrombin complex antibody in pathogenesis of cutaneous vasculitis.2020
Author(s)
Kawakami T, Kikuchi A, Miyabe C, Ikeda T, Takeuchi S, Tamura Y, Nishibata Y, Masuda S, Nakazawa D, Tomaru U, Ishizu A.
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Journal Title
Clin Exp Rheumatol.
Volume: 38
Pages: 161-165
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Wound, pressure ulcer and burn guidelines-1: Guidelines for wounds in general, second edition.2020
Author(s)
Hasegawa M, Inoue Y, Kaneko S, Kanoh H, Shintani Y, Tsujita J, Fujita H, Motegi S, Pavoux AL, Asai J, Asano Y, Abe M, Amano M, Ikegami R, Ishii T, Isei T, Isogai Z, Ito T, Irisawa R, Iwata Y, Otsuka M, Omoto Y, Kato H, Kadono T, Kawakami T, et al.
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Journal Title
J Dermatol.
Volume: 47
Pages: 807-833
Peer Reviewed / Open Access
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