2021 Fiscal Year Research-status Report
易傷害性心グラフトの体外灌流修復法と非侵襲的グラフト機能評価法の開発
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20K08974
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
深井 原 北海道大学, 医学研究院, 特任講師 (60374344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新宮 康栄 北海道大学, 医学研究院, 講師 (30617064)
暮地本 宙己 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60632841)
木村 太一 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (90435959) [Withdrawn]
藤好 真人 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (90844720)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 心移植 / 臓器灌流 / 虚血再灌流傷害 / 心臓 / 重水 |
Outline of Annual Research Achievements |
心移植のドナー不足解消のためには、心臓グラフトの冷保存許容時間の延長、虚血再灌流傷害の軽減が必要である。本課題では心臓の冷保存状態の改善、冠選択的灌流の至適条件、薬剤性コンディショニング、再灌流時治療の効果を明らかにし、移植前グラフト機能評価法の確立を目指す。われわれはラット心の24-36時間冷保存後・移植において、グラフト生存、心機能を比較し、UW液に対する自作液の優位性を示すことに成功した (Wakayama et al 2012 Transplant Int)。今回は自作液とCelsior液で24時間冷保存しその効果をLangendorf灌流による再灌流で比較した。しかし、異所性心移植と異なり自作液の有効性を示し得なかった。そこで、心筋細胞株を用いて自作液の冷保存傷害軽減効果を検討すると共に、各種薬物による保護効果、ミトコンドリア機能保護、細胞質Ca2+ overload阻害の有効性等を検討した。また、心臓のproteomics, metabolomics解析のために抽出法を詳細に検討した。多くの方法を検討した中で、トリクロロ酢酸 (TCA) による除タンパク(沈殿) と代謝物の抽出 (上層)が有用であった。TCA抽出液はジエチルエーテルとの混和・分液によってTCAが除去され、pHが安定した試料が得られるようになった。これらの試料はNMR解析、LC-MS/MS解析、ラマン分光解析に使用できる。一方、ミトコンドリア傷害に先んじて放出される、電子伝達系Complex1の構成分子であるフラビンモノヌクレオチド (FMN) をHPLC蛍光検出により他のビタミンB2群と区別する方法を確立した。また、オスミウム浸軟SEM法により心筋細胞内のアクチンやミトコンドリア膜構造を超微形態比較する方法を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先行研究や予備実験で行ったラット心臓の冷保存・異所性移植モデルの結果と異なり、ランゲンドルフ灌流による再灌流では自作液の優位性を示し得なかった。それゆえ、動物実験、細胞実験でのスクリーニングに立ち返って初期の検討を行ったため、当初予定よりも検討すべきことが増えた。さらに、COVID19感染症の蔓延により、研究機関内での動物実験室や共同実験機器の設置施設への出入り制限が断続的に行われ、当初計画よりも若干遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究に必須の各種測定、評価法の基本的な検討を中心に検討してきたが、最終年度になるので、遅れている動物実験に注力し、自作液による冷保存の優位性を検討する。また、得られる心組織試料をLC-MS/MS (proteomics, Lipidomics, metabolomics) 解析、HPLC蛍光検出、ラマン分光解析、顕微ラマン解析、イメージング質量分析、オスミウム浸軟走査電子顕微鏡解析などに供する。
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Causes of Carryover |
研究分担者 (新宮):ラット購入費用は1回に購入する頭数によって運送・梱包等の諸費用が異なる。それ故、予定していた頭数を購入できず、1頭に満たない額の端数を生じたもの。次年度の動物購入に充当する予定である。 研究分担者 (暮地本):購入を予定していた消耗品(米国製)の供給に時間を要し、年度内に納品することが困難であった。次年度に使用する予定である。
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[Journal Article] The Phenolic Antioxidant 3,5-dihydroxy-4-methoxybenzyl Alcohol (DHMBA) Prevents Enterocyte Cell Death under Oxygen-Dissolving Cold Conditions through Polyphyletic Antioxidant Actions.2021
Author(s)
Fukai M, Nakayabu T, Ohtani S, Shibata K, Shimada S, Sakamoto S, Fuda H, Furukawa T, Watanabe M, Hui SP, Chiba H, Shimamura T, Taketomi A.
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Journal Title
Journal of Clinical Medicine
Volume: 10
Pages: 1972-1988.
DOI
Peer Reviewed
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