2021 Fiscal Year Research-status Report
Histone/NETsを標的とした外傷性凝固障害の病態生理解明と治療法の確立
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20K09280
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
丸藤 哲 北海道大学, 医学研究院, 名誉教授 (30125306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 剛志 北海道大学, 大学病院, 助教 (30455646)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 外傷 / 自然免疫反応 / 凝固線溶反応 / 播種性血管内凝固症候群(DIC) / 凝固障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
Histon/NETsと外傷に関するデータベースを作成し解析に取りかかった。外傷と一次性外傷性凝固障害である播種性血管内凝固症候群(DIC)の解析を行った。前向きに収集した外傷症例295症例データベースを使用して、外傷急性期に発症する線溶亢進型DICが多臓器機能障害(MODS)発症の予測因子であり、MODS発症から症例の転帰を不良とする、との仮説を検討した。DIC症例のMODS発症率(57.6% vs. 42.4%, p=0.021)と大量輸血率(18.6% vs. 5.3, p<0.001)は非DIC症例に比較して高率であり、病院死亡率も高い(20.2% vs, 3.2%, p<0.001)。その結果DIC症例の生存確率は低く(Log Rank, p<0.001)、搬入直後(0H)と3時間後(3H)のDIC発症は、外傷症例の病院死亡、24時間以内の大量輸血、そしてMODS発症を予測可能である事をreceiver operating characteristic (ROC) curve解析に基づくarea under ROC curve (AUC)により証明した。AUCは、病院死亡(0H 0.771, p<0.001; 3H 0.808, p<0.001)、大量輸血(0H 0.714, p<0.001; 3H 0.857, p<0.001)、MODS (0H 0.650, p=0.001; 3H 0.686, p<0.001)である。さらに線溶亢進型DICの基本病態生理を構成する、トロンビン産生およびプラスミン産生もDIC症例の病院死亡を良い感度・特異度で予測可能であった。本研究は外傷性凝固障害でHistone/NETsが重要な役割を果たすDICの重要性を証明した事に意義がある。Scientific Report 2021; 11:11031(公表)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年はコロナ感染の蔓延遷延で計画が多少遅れている。コロナ関連論文二本を優先して執筆し公表できたが、こちらに時間を注ぐ必要があったことが遅延の主な理由である。本研究は研究計画書に従い前向き症例登録を実施してデータベースを作成出来た。データベースを使用した解析を実施中である。
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Strategy for Future Research Activity |
Histone/NETs関連外傷症例の前向き症例登録を終了しデータベースを作成した。このデータベースを使用した解析を行い結果をまとめる予定である。解析結果は日本救急医学会、日本外傷学会、日本集中治療医学会で発表し英文論文として公表する。また、外傷症例へのトラネキサム酸使用の病態生理に関する解析を実施中であり、こちらの解析結果も同上学会および英文論文として公表予定である。
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Causes of Carryover |
2021年はコロナ感染の蔓延遷延で計画が多少遅れている。コロナ関連論文二本(Frontiers Immunology誌、SHOCH誌、掲載済み)を優先して執筆し公表できたが、こちらに時間を注ぐ必要があったことが遅延の主な理由であり、このために次年度使用が生じた。繰り越した金額は、公表予定の二本の論文研究に使用する予定である。
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Research Products
(24 results)