2021 Fiscal Year Research-status Report
IL-18のがん治療における新たな抑制シグナルの解明
Project/Area Number |
20K09420
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
寺田 信行 兵庫医科大学, 医学部, 名誉教授 (50150339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 直子 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10319858)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | IL-18 / 骨肉腫 / 転移 / CXCL9 / CXCL10 |
Outline of Annual Research Achievements |
IL-18はマウス骨肉腫の転移を抑制し、IL-18投与マウスの血清中にはIL-18誘導性がん転移抑制シグナルが見出された。がん転移抑制シグナルの同定には抗体アレイを用い複数のシグナル分子の存在が確認された。本研究ではCXCL9とCXCL10がIL-18により誘導されるシグナル分子の候補として考えられ、その真偽を確かめた上で、これらの作用を明らかにする。さらに、我々が提案するIL-18による宿主のがんが”転移しにくい環境作り” という新たな概念の妥当性検証と、その実行におけるIL-18の役割を証明し、その生理的意義を明らかにする。 CXCL9とCXCL10はマウス骨肉腫細胞LM8の増殖には直接効果を示さない。そこで血管内皮細胞との関連性を調べた。CXCL9とCXCL10は血管内皮細胞の増殖には影響を及ぼさなかった。CXCL9には無いがCXCL10は血管内皮細胞の遊走能に抑制効果を示した。またCXCL10で刺激した血管内皮細胞ではLM8の接着が抑制された。血管透過性に対しては数時間のみ効果を示し、24時間後には効果がみられなくなった。これまでにIL-18は骨肉腫細胞に先行して投与しても肺転移を抑制することが分かっている。そこでIL-18と共に抗CXCL9または抗CXCL10中和抗体を共投与した結果、抗CXCL10抗体でのみ転移数の増加がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス骨肉腫細胞LM8とマウス血管内皮細胞b.end3, MS1, SVECにはCXCL9とCXCL10のレセプターであるCXCR3が発現しているが、CXCL9とCXCL10は各細胞の増殖には影響を及ぼさなかった。Wound healing assayではCXCL9では遊走能抑制効果がみられないが、CXCL10には抑制効果がみられた。またCXCL10で刺激した血管内皮細胞ではLM8の接着が抑制され、Boyden chamberを用いた浸潤アッセイでは、血管内皮細胞と共培養した時に浸潤抑制効果が見られた。これらの抑制効果をもたらす細胞接着因子についてReal-Time PCR解析とWestern blot解析を進めている。in vivoの実験では骨肉腫の転移を抑制するIL-18の効果を抗CXCL9または抗CXCL10中和抗体が阻害し、わずかな有意差がでただけであったため、IL-18の投与量から検討し直し直している。
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Strategy for Future Research Activity |
CXCL9とCXCL10は血管内皮細胞に作用してLM8との接着性を弱めていると考えられるので細胞接着因子の発現への影響を調べていく。いくつかの接着因子についてReal-Time PCR解析を行っており、時間や濃度への依存を調べていく。またWestern blot解析では検出できていない抗体を変えて調べなおしていくつもりである。
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Causes of Carryover |
Boyden chamberなど培養用品や試薬がコロナのために入手が困難な状態が続き実験が思うように進まなかった。次年度は細胞接着因子の発現をReal-Time PCR解析するためにprimerやqPCR試薬、Western blot解析のための抗体や組織染色用の抗体の購入費用に充てるつもりである。
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