2020 Fiscal Year Research-status Report
骨血管機能の性差から見た循環障害に起因する骨粗鬆症の病態解明
Project/Area Number |
20K09464
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
福田 裕康 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (90444984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋谷 光 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (10315905)
中森 裕之 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (60824349)
三井 烈 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (90434092)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 骨循環 / 骨膜動脈 / 栄養動脈 / 骨粗鬆症 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨粗鬆症の発症およびその治療の有効性に関わる性差を、骨代謝機能を担う骨微小循環およびそれを担う骨血管の収縮機能制御から解明しようとする研究であり、骨微小血管を標的とした予防法、治療法確立の起点となる研究である。 骨循環障害が、骨深部を担う栄養動脈および表層を栄養する骨膜動脈のいずれの機能障害により深く関わるのかを明らかにし、それぞれの血管での責任血管レベルを探索する。さらに女性ホルモン低下モデル動物における血管の機能変化を調べ、「女性の骨粗鬆症の発症は、女性ホルモン低下による骨循環障害に起因する」との学術的問いを検証する。 骨粗鬆症の本態は骨形成と骨吸収の不均衡であるが、女性の発症率が高いことは、骨代謝バランスを維持する作用を持つ女性ホルモンの低下に起因すると考えられる。女性ホルモンは血管拡張作用、抗動脈硬化作用を有することから、その骨代謝バランス維持作用には骨循環の促進、改善が関与することが示唆される。しかしながら、骨循環障害 と骨粗鬆症発症の因果関係のベースとなる、骨循環を担う骨血管の機能特性は十分に理解されていないのが現状である。本研究課題では、骨深部循環を担う栄養血管と表層を栄養する骨膜血管の収縮制御機構を比較し、性差の有無を明らかにすることである。 本年度は3週齢雌モルモットを用いた。脛骨栄養動脈における経壁神経刺激により生じる神経性収縮は、交感神経および5-HT作動性血管収縮神経によって調節されていることがわかった。雌モルモットに特徴的なことは、両神経とも5-HTが神経伝達物質として働いていたことから、雌における5-HTによる血管収縮制御が骨代謝に影響を与えていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
栄養血管の収縮制御機構の雌雄差について、3週齢雌雄モルモットで比較検討を行った。栄養血管では雄と同様に交感神経、5-HT含有神経の支配を受けていたが、神経伝達物質としての5-HTの関与に違いがあった。すでに検討した雄モルモットとは異なる骨血管収縮機構を見出せた。 本来、骨深部循環を担う栄養血管と表層を栄養する骨膜血管の収縮制御機構を比較し、性差の有無を明らかにする予定であったが、モルモット飼育施設の故障のため、実験開始が遅れ、十分な数を確保できなかった。そのため、骨膜血管での検討が行えなった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、骨成長期における骨深部循環を担う栄養血管の収縮制御機構を明らかにした。今後は、栄養血管と表層を栄養する骨膜血管の収縮制御機構を比較し、性差の有無を明らかにする。さらに女性ホルモン低下モデル動物におけるそれぞれの血管の機能変化を調べ、骨循環障害に起因する骨粗鬆症の病態解明を目指す。
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Causes of Carryover |
飼育施設の故障により、新規搬入が一時中止となり、動物の確保ができなかったため当該助成金が生じた。 動物の搬入が正常化したので、翌年度は、本年度行うことができなかった骨膜動脈の収縮制御機構を明らかにし、栄養動脈との比較を行い、雌雄差を明らかにする。並行して女性ホルモン低下モデル動物におけるそれぞれの血管の機能変化を調べ、骨循環障害に起因する骨粗鬆症の病態解明を目指す。
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Research Products
(1 results)