2020 Fiscal Year Research-status Report
Development and operation of helpful applications genetic counseling for reciprocal translocations
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20K09657
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
尾崎 守 金沢医科大学, 総合医学研究所, 講師 (50319068)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 均衡型相互転座 / 遺伝カウンセリング / 4価染色体 / 隣接1型分離様式 / 隣接2型分離様式 / 3:1分離様式 |
Outline of Annual Research Achievements |
均衡型相互転座保因者の遺伝カウンセリングに必要としたパキテン図作成アプリケーションとDanielの三角形解析アプリケーションをExcelのVisual Basic For Applicatios(VBA)を利用して完成させた。二つのアプリケーションを利用して、均衡型相互転座保因者症例の解析を行った。この解析は約10分以内に終了することができ、臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーの負担を軽減することが可能にした。このアプリケーションでは二つの切断点を2回入力する必要であるが、省力化のために切断点の入力を1度でパキテン図とDanielの三角形の解析ができる「統合型アプリケーション」を作成した。パキテン図は均衡型相互転座保因者の減数第一分裂で相互転座に関係する4本染色体が形成する4価染色体の形態を示すパキテン図は遺伝カウンセリングでは来談者への説明で必要であるとされている。またその形態から産まれてくる不均衡型転座児となる分離様式を予想することができるとされているが、実際に相互転座保因者症例を解析してみるとパキテン図だけでは、判定出来ない症例も少なからずあった。これを克服したのがDanielの三角形解析であった。この解析法は、不均衡型転座児が産まれてくるか流産となるかを不均衡領域の大きさで判断する1979年に発表されたものである。しかし、この方法が均衡型相互転座保因者の遺伝カウンセリングに積極的に利用されたことがない。これを簡単に利用できるようなった。 日本遺伝カウンセリング学会、日本人類遺伝学会、日本産科婦人科遺伝診療学会でこのアプリケーションを発表し、このアプリケーションを利用を希望する方に配布した。それによって、このアプリケーションが動作するものがExcel2019であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アプリケーションは、まずパキテン図作成アプリケーションを完成させた。次に不均衡型転座児が産まれてくるか、出生に至らないかを判断する簡易的な判定法であるDanielの三角形を作成するアプリケーションを完成させた。この二つのアプリケーションを利用して均衡型相互転座を解析し産まれてくる不均衡型転座の分離様式を予想し、Stengel-Rutkowskiらの確率評価法で不均衡型転座児が産まれてくる確率を求めた。更にこの二つのアプリケーションを、2度の切断点入力を1度に省力化した統合型アプリケーションを作成した。この統合型アプリケーションで均衡型相互転座症例を解析した。不均衡型転座児が産まれた症例では、その分離様式とアプリケーションで予想した分離様式を照合することができた。また、同様のことをChromosome Abnormalities And Genetic Counselingに記載されている家族歴や細胞遺伝学的情報が揃った11症例を解析したところ、10症例で予想した分離様式が一致した。1例は習慣流産でそのPOC染色体分析結果は隣接2型分離であったが、パキテン図・Danielの三角形の解析結果では出生に至らず流産となると予想していた。3:1分離様式の不均衡型転座が産まれてくる可能性がありと予想していた。 また均衡型相互転座保因者の解析を増やしていくと、パキテン図解析だけでは分離様式を推定が困難な均衡型相互転座症例があり、最終的にはDanielの三角形解析結果に判定を頼る症例が少なからずあった。Danielの三角形解析の一致率は約95%とされているので、このアプリケーションでも約95%の一致率と推定された。100例以上の解析で1例に、出生に至らないと予測された分離様式の不均衡型相互転座児が産まれてきたことを確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
Microsoft Excel2019VBAでコードを書いたアプリケーションは、Windows10版とApple社のmac OS X CatalinaとOS11で動作が確認されている。Windows10版とmac OS版は基本的に同じであるが、結果をPowerPointのスライドに貼り付ける。その部分のコードが異なっている。Windows 10版コードが、mac OS上では全く動作することができなかった。Windows10版は予め結果報告用テンプレートを作り、Excelシート上からそのテンプレートスライドを開きパキテン図とDanielの三角形解析図をコピーするという方法である。一方mac OS版では、新しいPowerPointスライドを開くことができた。これにExcelシート上に作成した結果報告を新しい白紙のPowerPointスライドにコピーする。このスライドを均衡型相互転座核型の記述法で保存する。Windows10版とmac OS版を比較するとmac OS版のコードの方が遥かに使いやすいことがわかったので、mac OS版コードに統一する予定である。Excelのバージョンアップで動作しなくなる可能性への対処Excel2019でコードを作成したためか、Excel2016では動作しない事象が確認された。これは3~4年後Excelがバージョンアップするのは確実である。これにより、現在開発したアプリケーションが3~4年後動作しなくなる可能性が考慮された。これを回避するために、コンピューター言語をPythonに変更を検討する予定である。これが、成功すれば3~4年でバージョンアップにより動作しなくなる危険性を回避することが可能になる。また、Pythonで作られたアプリケーションはiPadなどのタブレットでも使用できる可能性があり、当アプリケーションの普及に寄与することが期待される。
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Causes of Carryover |
2020年度でほぼアプリケーションは完成した。改良すべき課題も明らかになり、これを改良する。改良したアプリケーションを安全に保存するために複数の記憶媒体を購入し確実なものにする。国内への普及促進するために、日本遺伝カウンセリング学会誌への投稿を準備している。細かい投稿規定のある参考文献の記述を簡単に行うソフトファエアーの購入を予定している。また均衡型相互転座に関する最新の文献、書籍の購入し最新の知識を獲得に努める。本アプリケーションはおそらく世界初になるもので国際的に発表することを目標としている。このため英語版のExcel2019が必要となるのでこれを購入する。
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Research Products
(3 results)