2020 Fiscal Year Research-status Report
甲状腺眼症の個別化医療を目的としたゲノムワイド関連解析
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20K09773
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田邉 美香 九州大学, 大学病院, 助教 (90621293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 雅人 九州大学, 医学研究院, 講師 (10757686)
田邉 真紀人 福岡大学, 医学部, 准教授 (60707305)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 甲状腺眼症 / 遺伝子解析 / ステロイド治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
甲状腺眼症の発症のメカニズムは未だ不明な点が多い。自己免疫性甲状腺疾患の遺伝因子としては、TSH受容体遺伝子多型やCTLA-4、PTPN22、CD40遺伝子などの免疫調節分子の遺伝子多型が報告されている。現在、甲状腺眼症の治療には副腎皮質ステロイド薬の全身投与が最も広く用いられており、一般的に視神経障害、外眼筋肥厚に最も有効であり、斜視には一部有効、眼球突出にはあまり効果がないとされているが、炎症の鎮静効果には一定の効果はみられるが、その効果を維持できるものは66%に過ぎない。これまでの研究で、喫煙や甲状腺機能異常は甲状腺眼症の増悪因子とされている。またTSH受容体抗体が治療への反応や治療経過予測に相関していることも示唆されているが、甲状腺眼症発症の予測因子になりうるかは明らかにされていない。甲状腺眼症に対しては、後眼窩組織への細胞浸潤が下火になり線維芽細胞が線維化してしまってからでは治療効果が得られにくくなるため、活動期の早期治療介入が重要である。網羅的ゲノム解析によってリスクの高い患者を選別できれば、眼症発症前からのフォローアップにより早期発見・早期治療につながると考えた。これまで甲状腺眼症に関連する因子として、臨床的には甲状腺機能異常、喫煙、TRAb、TSAbが挙げられているが、甲状腺眼症に関連する網羅的遺伝子検索は行われていない。甲状腺眼症は炎症のターゲットが外眼筋の症例もあれば、眼瞼症状が主体の症例、眼窩脂肪織増生が主体の症例があるが、このような眼症の臨床的特徴に関連する因子は過去に報告がない。 今回、我々は甲状腺眼症の網羅的遺伝子解析を行うことで、ステロイド治療に対する個人差を規定する治療感受性遺伝子を同定することで、ステロイド反応不良が予測される症例については別の治療を提案するなど、患者個人にあった治療を提供できるようにすることを目的とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
検体が目標検体数に至っておらず、解析待ちの状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に目標検体数に到達見込みであり、抽出したDNAは、外部委託先である理研ジェネシスに送付し、DNAマイクロアレイを用いた網羅的な遺伝型測定を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
採取検体が目標検体数に達しておらず、当科で抽出したDNAを、外部委託先である理研ジェネシスに送付しDNAマイクロアレイを用いた網羅的な遺伝型測定を行う予定を2021年度に行うこととしたため。
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Research Products
(3 results)