2021 Fiscal Year Research-status Report
GABA受容体rho2の破骨細胞分化調節機構の解明とそのアゴニストの臨床応用
Project/Area Number |
20K09880
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
玉村 禎宏 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (70431963)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 朗 東京歯科大学, 歯学部, 客員教授 (00142430)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | GABA受容体rho2 / 破骨細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
クロライドイオンチャンネル(Cl-)型GABA受容体ファミリーに属するGABA受容体ρ2subunit (Gabrr2)の破骨細胞分化における役割は現在のところ不明である。我々は、Gabrr2の破骨細胞での発現をreal-time PCR、ウェスタンブロット法、免疫染色法にて確認した。また、in vitroにおける機能阻害実験により、TRAP, Cathepsin K, Nfatc1, cFos遺伝子発現が上昇することから、Gabrr2は破骨細胞分化を抑制する機能を持つことが判明した。この分化抑制機構を調べるために,我々は破骨細胞分化に重要なNFκBシグナル伝達経路に着目した。Gabrr2を過剰発現させた骨髄単球系細胞では、TNFα処理によるIκBαのリン酸化がGFP発現細胞(コントロール)と比較して強力に抑制されることを見出した。すなわち、Gabrr2はNFκBシグナルを抑制することで破骨細胞分化を抑制することが示唆された。現在さらに上流のIKKのリン酸化や同シグナル伝達に関与するTRAFやTraipなどの因子について調べている。また、本年度は、UCDavisより輸入したloxP配列挿入Gabrr2マウス(Floxed-Gabrr2)の凍結精子から個体復元し、同マウスの系統を樹立することができた。今後はヘテロ接合体マウス同志の交配により、ホモ接合体マウスを作成する。ホモ接合Floxed-Gabrr2マウスの骨髄より単球系細胞を単離し、retrovirusを用いてCre recombinaseを強制発現させ、in vitroにおけるGabrr2ノックアウトマウス細胞を作成する。この細胞を破骨細胞分化させ、これまでと同様の実験を行い、Gabrr2の破骨細胞分化に対する機能を解析する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々はこれまでにGabrr2が破骨細胞分化を抑制することを見出したが、今年度はその抑制メカニズムとしてNFκBシグナルが関与することを明らかにした。さらに、UCDavisより輸入したloxP配列挿入Gabrr2マウス(Floxed-Gabrr2)の凍結精子から個体復元を行い、当マウスのヘテロ接合体の系統を樹立することができた。来年度には、早々にヘテロ接合体同志の交配によりホモ接合体を作出し、ホモ接合体から採取した細胞からGabrr2遺伝子をノックアウトした破骨細胞の作成にとりかかることができる。以上の理由から、本研究は現在のところおおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
NFκBシグナルに着目してGabrr2の破骨細胞分化抑制機構を解明する。すなわち、TNFα受容体、IKK、NIK、TRAF3やTRAF6などのこれまでに破骨細胞分化との関連が報告されているNFκBシグナル伝達関連因子の発現やリン酸化の状態調べる。また、Floxed-Gabrr2マウスのホモ接合体の骨髄から単離した単球系細胞から、in vitroでCre recombinaseを強制発現させることによって、Gabrr2遺伝子がノックアウされた破骨細胞を作成する。この細胞を用いて、破骨細胞分化マーカー発現の変動や上記のNFκBシグナル活性の状態を調べ、Gabrr2の破骨細胞分化に対する役割を解析する。
|
Causes of Carryover |
(理由)本年度の研究に必要な分子生物学実験用試薬が予定より少額で賄えたため、次年度使用額が生じた。 (使用計画)次年度は、Floxed-Gabrr2マウスから採取した細胞の培養実験や抗体、分子生物学実験のための試薬が多く必要となると予想されるため、次年度研究費の物品費と合わせて使用する計画である。
|