2023 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者糖尿病関連歯周炎患者のオーラルフレイルリスクバイオマーカーの探索
Project/Area Number |
20K09957
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
板東 美香 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (10510000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木戸 淳一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (10195315) [Withdrawn]
稲垣 裕司 徳島大学, 病院, 講師 (50380019)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高齢者 / 糖尿病関連歯周炎 / オーラルフレイル / 口腔機能低下症 / 唾液 / 歯肉溝滲出液 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「糖尿病関連歯周炎とオーラルフレイル(口腔機能低下症)に相関する新規バイオマーカーを探索すること」を目的としている。 徳島大学病院生命科学・医学系研究倫理審査委員会の承認を得て、徳島大学病院歯科と枡富歯科医院を受診した65歳以上で、現在歯数が10本以上の患者116名を研究対象とした。問診にて糖尿病歴を確認し、歯周病検査を行い、さらに唾液および歯肉溝滲出液を採取しバイオマーカーレベル(酸化ストレスマーカー:8-OHdG・グリコアルブミン:GA・カルプロテクチン:CPT)を各種ELISAキットを用いて測定した。また、口腔機能低下症診査は①口腔衛生状態②口腔乾燥③咬合力④舌口唇運動機能⑤舌圧⑥咀嚼機能⑦嚥下機能の7項目を評価し、3項目以上の該当で口腔機能低下症と判定し、バイオマーカーレベルと歯周病、糖尿病や口腔機能低下症との相関について調べた。 対象被験者は、糖尿病患者が41名、非糖尿病患者75名であった。糖尿病患者群では口腔機能低下症の割合が非糖尿病患者群と比べて多い傾向にあったが有意差はなく、その中でも咀嚼機能および舌口唇運動機能の低下が有意に認められた。糖尿病患者群では、歯肉溝滲出液中の炎症性マーカーであるCPTレベルおよび唾液中の酸化ストレスマーカーである8-OHdGレベルが有意に高かった。さらに、対象被験者のうち口腔機能低下症の患者は74名(63.8%)で、唾液中のバイオマーカーレベルは口腔機能低下症の患者群で高い傾向にあった。唾液中のカルプロテクチンは口腔機能低下症の診断の有無と有意な関係があり、その診査項目のうち口腔乾燥状態および咀嚼機能と有意に関連し、8-OHdGは口腔衛生状態と舌口唇運動に、AGEは舌口唇運動に有意に関連が認められた。 このことから、唾液中のバイオマーカーは、口腔機能低下症の診査項目に関連があり、口腔機能低下症診断に有用である可能性が示唆された。
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