2020 Fiscal Year Research-status Report
幹細胞を誘導し高度立体構造をもつ歯根膜シートを創製するマイクロ・ナノパターン探索
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20K10006
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉田 靖弘 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (90281162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤坂 司 北海道大学, 歯学研究院, 准教授 (00360917)
玉井 美保 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (20619704)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マイクロ・ナノパターン / 幹細胞 / 歯髄幹細胞 / 歯根膜再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
●研究の目的: インプラント周囲炎は早急に解決すべき課題であり、難題としてはインプラント周囲での正常歯根膜の再生が挙げられる。本課題では、歯根膜再生時に大きな役割を担うことになる幹細胞に特化して歯根膜再生を目指す。超立体微細パターン作製技術を用い、各種幹細胞を用いた①「バイオ系微細パターンによる各種幹細胞の立体培養や分化誘導の法則化」、②「超立体階層化パターンによるコラーゲン線維など歯根膜構造の再生」を検討したい。取得データより、歯表面で起きる幹細胞に由来した歯根膜再生機構を細胞足場形態の側面から法則化し、独自デザインパターンでの歯根膜再生に繋げたい。 ●研究の成果: ①パターンの作製:シリコーンモールド(形:ピラー、ホール、グルーブ、サイズ:直径または幅500 nm~2μm、高さ:500 nm)を用いてパターン化を行った。モールドにCOPフィルムを被せ、熱プレスにより形状を転写し、パターン化フィルムを得た。フィルムをプラズマ処理後、細胞培養ディッシュに固定し、細胞培養に用いた。 ②幹細胞の培養:マウスES細胞を用いて、胚様体を形成した後に各種微細パターン上に播種し培養をおこなった。3胚葉への分化促進作用を検討するため、培養培地には特殊な分化誘導因子を加えずに培養した。その結果、拍動心筋細胞の出現率や骨系細胞の出現にパターン間での差が観られる可能性が示唆された。 ③ヒト乳歯歯髄幹細胞の培養準備:ヒト乳歯歯髄幹細胞の保存や培養培地条件を検討し、機能を保ったままの保存・培養条件を設定出来た。次年度より、パターン上での培養で使用する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ関連で他の業務による研究時間の減少のため、単純に延滞してしまったため。
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Strategy for Future Research Activity |
計画は「①パターン化研究材料の製造」、「②立体培養・分化誘導評価」、「③立体構造物の評価」に大きく分けて進行する。次年度では、計画「②立体培養・分化誘導評価」と「③立体構造物の評価」に重点を置き、研究を効率よく進める。また、本年度の結果のより詳細な再検討も行い、結果の確実性や研究進歩の着実性も向上させ、全体として推進させる。 ①基本微細パターンの作製・提供:基本形状としてピラー、グルーブ、ホールを100 nm~50μmスケールでパターン化する。一方で、パターンの性能を広げるため、プラズマ無しのパターンでも積極的に検討し、幹細胞のコントロールの幅を広げる。さらに通常入手しづらい100 nm付近ピラー構造の大面積パターンを追加して検討し、研究の推進を図る。 ②立体培養・分化誘導:微細パターンによる幹細胞のパターン上での分化誘導を評価する(分担研究者 玉井)。幹細胞の比較検討をしながら分化活性を評価するが、比較的培養のし易いヒト乳歯歯髄間葉系幹細胞でスクリーニング的に行いおおざっぱな目途を付けた後に、典型的な幹細胞を使用し検討することで、研究の推進を図る。培養評価は、はじめは簡単な顕微鏡観察など定性分析からスクリーニング的に行い、その後、各種特徴遺伝子解析等で評価する。特に典型的な幹細胞では、胚様態を形成した後に微細パターン上に播種し、パターン特異的な分化の方向性の評価を行う。 ③立体構造物の評価:超立体階層化パターンによる歯根膜構造の再生では、特殊ピラー構造を使用し、幹細胞が効率的に歯根膜に特徴的な組織である垂直配向コラーゲンが再生できる足場の立体形状を明らかとする。初めは比較的高さが低い階層化パターン上で歯根膜幹細胞・間葉系幹細胞を長期培養し(分担研究 赤坂):①細胞の組織化、②細胞産生コラーゲンの組織化効率を評価し、効率的な歯根膜再生を達成するデザイン発見を目指す。
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Causes of Carryover |
コロナ関連で他の仕事に時間を費やしたため、研究時間が減少し、すこし研究計画が延滞した。そのため研究延滞分の一部の研究費を次年度使用できるようにしたため。また次年度使用分は、培養消耗品として使用する計画である。
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