2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K10118
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
誉田 栄一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (30192321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 直樹 徳島大学, 病院, 講師 (10219272)
吉田 みどり 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (30243728)
細木 秀彦 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (60199502)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 非磁性生体内金属 / MR撮影 / 脳動脈瘤用クリップ / 3元系合金 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来からの研究で金、白金を主体とした三元系合金AuーPtーXの開発を同様に行った。前回までの研究では、いくつかのXの候補のなかで、Nbが最適であることが判明したため、それぞれの含有量を変化させ、非磁性の性質を有し、かつ機械的性質がすぐれている組成割合範囲を決定した。その三件系合金をもとに、脳動脈瘤用血管クリップの作製を行った。MR撮影では、T1強調画像やT2強調画像、またspin echoだけでなく、gradient echo 系シークエンスにおいてもR画像上は、予想とおりに、ほとんどアーティファクトを生じないプロトタイプの製品が完成した。しかし、機械的特性が低いためクリップの把持力に問題があることが判明し、他の金属の選定を行った。 選定された金属は、特許申請前の関係で、ここではαとしておく。基本は、三元系合金でAuーPtーαとした。ここで、Auの重量モル濃度を、前回のAuーPtーNb合金で得られ、良好であった組成をもとに、白金の含有率を同等な5mol%として、Auとαの含有量を変化させて、合金作製を行った。 できあがった合金の磁化率を硬さの測定を行い、適切なAuとαの組成割合を決めた。Auが53mol%のとき、すなわち、Au-5mol%ー42mol%αの合金作製ができた。その合金の磁化率を測定したところ、-1.5×10E-9となり、従来のAuーPtーNb合金で得られた-9.0×10E-9よりも0に近い値となった。この値からMR撮影上、アーティファクトが生じないことが期待されたので、この合金のMR撮影を行った。臨床用の3Tの装置を用い、spin echo系とgradident echo系の2種類のシークエンスにより、T1強調画像を得た。同時に、AuーPtーNbを同条件で行った。画像を比較すると、2つの合金のアーティファクトはほとんどなく、同程度であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非磁性生体内合金の開発を行っているが、従来の3元系合金Au-Pt-Nbで最適と思われる組成割合をみつた。その合金のMR撮影では、金属アーティファクトがほとんど出現せずに、外形の歪みもないことから、まったく問題はないと考えられた。しかし機械的特性がやや劣っていることから、そのままでは、最終目的である脳動脈瘤用クリップの素材として、十分ではない可能性があるので、別の合金を探していた。その結果、Nbに変わる可能性がある元素αがみつかり、それを用いた3元系合金の着手を行った。ある組成割合で、磁化率が0に近くなることが判明し、その組成割合でMR撮影を行った。従来のAu-Pt-Nbと同条件下での撮影で、金属アーティファクトはほとんどなく、両者の違いもないと考えられた。今後、この組成を中心に、最適な組成割合の範囲をみつける過程にはいれると考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
金、白金とその他の元素から構成される3元系合金の第3の候補がみつかり、MR撮影において、アーティファクトをほとんど生じないことが判明したことから、それらの組成割合を変えて、最適な機械的性質を有する組成割合の範囲を決定する予定である。そこで、組成範囲が決定すれば、脳動脈瘤用クリップのプロトタイプの作製を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症拡大の影響を受け、情報収集などを初めとして、研究活動の進行が遅れてしまったことによる。学会での広報活動のための交通費などを使用しなかったため、次年度の使用額が生じた。翌年度分として請求した研究費とあわせて、学会発表や情報収集のための交通費などに使用する予定である。
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