2020 Fiscal Year Research-status Report
CT値から算出した気道周囲組織の物性値を用いた小児OSAの原因部位の特定
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20K10230
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
岩崎 智憲 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (10264433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 要一 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (30200645)
原 浩貴 川崎医科大学, 医学部, 教授 (90274167)
大井 一浩 金沢大学, 附属病院, 講師 (90451450)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 小児 / 閉塞性睡眠時無呼吸 / CT / 原因部位 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は筋の弛緩する睡眠中に吸気時の陰圧により上気道が収縮し、閉塞することで生じる。この閉塞は気道形態、吸気時の気道陰圧、気道周囲組織が互いに影響して発生する。しかし上気道はアデノイドや口蓋扁桃肥大により形態が複雑なことに加え、睡眠中の気道収縮量も吸気時の陰圧と気道周囲組織の影響を受けるため、小児OSAの原因部位の特定は非常に困難となる。そこで本年度はCTデータから得られた上気道モデルで吸気時に生じる陰圧を算出し、小児OSA原因部位の特定に繋がる解析を行った。その結果OSAの重症度を示す無呼吸低呼吸指数(AHI)と吸気時陰圧が密接に関連していることが示され、さらに咽頭気道断面積が50㎜2以下の場合、吸気時陰圧が急激に強くなるだけでなく、AHIも大きくなることから、咽頭気道の断面積は小児OSAの原因部位の特定のための指標となることが示された。この研究成果はアメリカ睡眠医学会の機関誌に掲載された(Tomonori Iwasaki,et al., Effect of Adenoids and Tonsil Tissue on Pediatric Obstructive Sleep Apnea Severity Determined by Computational Fluid Dynamics. Journal of Clinical Sleep of Medicine, Accepted 5 August 2020. (IF = 3.586))。また、ヨーロッパ矯正歯科学雑誌にも掲載された(Iwasaki T et al.,Nasal ventilation and rapid maxillary expansion (RME): a randomized trial.Eur J Orthod. 2021 Feb 10)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度既に対象とするデータの収集については目途が立ち、また実際に気道周囲組織の大きさに関する外国語原著論文が掲載されており、今後は物性値の解析についての研究を開始する予定で、研究の進捗状況は3年計画の1年目としては順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は症例数を増やし、より精度の高い原因部位の特定方法の確立を目指したい。 そのためにも多くの症例数、またいろんな種類のデータ(アデノイド切除・口蓋扁桃摘出術前後、上顎急速拡大前後、下顎前方誘導戦後等)を収集する必要があり、これらのデータを保有する新たな研究協力機関の獲得が必須になる。そしてそのためには本研究の積極的な学会発表(睡眠学会、睡眠歯科学会、World Sleep)や論文発表(Journal of clinical sleep medicine, American journal of orthodontics and orthopedics等)を通して連携先の研究機関の獲得を図る予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の影響で学会参加がままならなく、次年度使用額が生じた。そのため2021年度はそれを有効に物品費等に割り当てて研究を進めたい。
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Research Products
(8 results)