2022 Fiscal Year Annual Research Report
環境レジストームに着目した効果的な病院環境整備に関する探索的研究
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20K10345
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長尾 美紀 京都大学, 医学研究科, 教授 (80523993)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 環境整備 / 細菌叢 / 院内感染対策 / 薬剤耐性菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、研究フィールドである病院全体について新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が減じたため、サンプリング対象や回数を当初の計画に基づき遂行することができた。一方で、研究計画にあった病院排水そのものの解析は、COVID-19流行に伴う院内工事工程の変更・遅延があったため、行うことができなかった。しかしながら、排水の源流である排水溝やその周辺からのサンプリングを全病院的に行うことができた。2022年度は、従来行っていたA,B,C病棟のサンプリングに加えて、20病棟の定点調査を行った。薬剤耐性菌の検出歴があり接触予防策を講じている病室全てと同数のコントロール病室の複数個所からサンプリングを行い、菌量、薬剤耐性菌の有無、細菌叢解析を行った。その結果、今回の調査では薬剤耐性菌の検出歴がある患者の水回り環境から同様の細菌が検出されることは乏しいこと、患者の活動性によって検出される細菌の菌叢や菌量が異なること、検出される菌叢や菌量は清掃に用いている洗浄剤の影響が少ないことが示唆された。また、真菌叢解析も併行して行ったところ、一部の病室よりアスペルギルス属菌が検出された。環境調査の方法は標準化されたプロトコルがなく、サンプリングのタイミングや方法などにも結果が影響を受けることが想定されるため、今回の調査結果を一般化することができない可能性はあるが、本研究結果を元に、至適な環境整備法の検討をさらに進めていくこととなった。
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