2022 Fiscal Year Research-status Report
変容的学習としての看護師のプロフェッショナリズム教育プログラムの開発と評価
Project/Area Number |
20K10652
|
Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
網島 ひづる 兵庫医科大学, 看護学部, 教授 (90259432)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 千春 兵庫医科大学, 看護学部, 准教授 (00510869)
貞永 千佳生 兵庫医科大学, 看護学部, 講師 (10600182)
荻野 待子 兵庫医科大学, 看護学部, 講師 (20420747)
笹川 寿美 兵庫医科大学, 看護学部, 准教授 (60322898)
常見 幸 兵庫医科大学, 看護学部, 准教授 (80425123)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 変容的学習 / プロフェッショナリズム / 教育プログラム / 看護師 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は看護師のプロフェッショナリズムの形成のための変容的学習としての教育プログラムを開発し実施・評価することである。当初の研究期間は3年間であった。しかし、計画の遂行に想定以上の時間を要したため補助事業期間の延長申請を行った。 これまでの第1段階(1年目)の目的は、臨床現場で中核的な実践者である看護師(10年以上の経験を有する)と新人看護師を対象に、省察による考え方の変容過程と構造を明らかにすることであった。調査方法は、背景調査票および半構成的質問紙調査票を用いた面接調査を実施した。調査内容は、印象に残っている経験、どのように省察しているか、その省察はプロフェッショナリズム(看護師-患者間関係能力・省察能力・時間管理能力・多職種関係能力)の形成にどのようにつながっているか等である。面接で得られたデータを質的帰納的分析した。さらに、対象別に、カテゴリを比較し認識の変容過程の特徴を検討した。その結果、プロフェッショナリズムの各要素、省察の過程に質的な違いがあり、さらに対象者の省察に心理的な混乱を引き起こすジレンマがトリガーになっていた。 第2段階は第1段階の結果をもとに教育プログラムを開発に取り組んでいる。変容的学習理論をプログラムの軸として、プロフェッショナリズムの要素別に経験を基にした「聴く」「書く」「話す」を効果的に盛り込んでいる。さらに、第3段階として次年度に開発したプログラムを看護師の研修として適用し、その効果を評価する。効果は、①事前・事後の課題レポート(プロフェッショナリズムに対する自己の考えの変化)、②Professionalism in Nursing Behavioral Inventory(PNBI) による測定、③看護師による学修目標に対する到達度の自己評価、④ファシリテータ(研究者)のファシリテーションに対する自己評価から行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は3年の研究期間の最終年度である。しかし、計画の遂行に想定以上の時間を要したため、補助事業期間の1年間の延長申請を行った。計画の遂行に時間を要したのは、研究協力施設において本研究の補助事業の開始と新型コロナの感染症の対応が激しくなった時期と重なった。そのため、研究対象者としての看護師の確保が難しくなったからである。そこで、第1段階の面接調査の対象人数を半減したが、看護師の本研究への協力および対面によるデータ収集が難しくなり、面接調査が進まず時間がかかった。オンライン(双方向型)で実施することに変更し、オンライン環境、個室の環境準備などに関して施設の協力を得た。また、研究責任者が家族の介護開始時期と重なる介護環境の調整に時間を要したため、研究遂行に影響を及ぼしたことも理由の一つである。 現在は、第2段階の教育プログラムを第1段階の結果をもとに教育プログラムを開発の最終段階である。さらに、第3段階として、次年度に開発したプログラムを看護師の研修として適用し、その効果を評価する予定である。本プログラムは対面研修であることから、新型コロナ感染症の状況を把握して、柔軟にプログラムの試行時期・方法を検討することとしたい。また、研究責任者の介護環境の調整もできている。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は本研究の補助事業期間の延長期間である。目標を達成し、研究成果を報告できるように計画的に進めたい。そのために、1~4のような方策を取りたい。 1. 研究者および研究協力者間の情報交換をメール等で効率よく進める。新型コロナ感染症の感染者数の状況および協力施設における対象看護師の業務状況を迅速に把握し計画遂行のための計画(時期・方法)を柔軟に検討する。 2. 2023年8月、11月、において本年度の計画が遂行の状況を研究者および研究協力者間で年間計画にそってチェックし、遅れている場合は対策について検討する。 3. 2023年9月~11月の期間に、看護師の研修として開発したプログラムを適用する。その研修が実施でき、効果測定としてのデータが確保できるように、協力施設を4施設程度に増やす。 4. 研究対象者である看護師が開発したプログラムの学修が進められるように、オンライン授業、オンライン討議などのオンラインプログラムを取り入れる。さらに、プログラムの評価のためのデータ収集においてもオンラインによる方法を計画する。
|
Causes of Carryover |
第1段階の研究は終了し、その成果を活用して第2段階の変容的学習としての教育プログラムの開発が最終段階である。新型コロナ感染対策のため本研究の対象者である看護師の業務が煩雑化しデータ収集のための面接調査ができず、計画の遂行が滞ることになったことから、研究遂行に時間がかかった。そこで、1年間の延長承認を得て2023年度に第3段階の研究計画を着実に進めていくこととする。開発したプログラムの実施のための経費、その効果測定のためのデータ収集、分析を助ける研究補助者を雇用する予定であることから、その費用とする。また、コロナ禍でも研究が進められ、成果が得られるように、オンラインでのプログラム実施やデータ収集ができる環境整備、教材の作成のための費用として、残額を使用する計画である。
|