2023 Fiscal Year Research-status Report
熟練看護師の術後臨床判断の可視化に基づくシチュエーション・トレーニング教材の開発
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20K10677
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
當目 雅代 同志社女子大学, 看護学部, 教授 (20259435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 功士 同志社女子大学, 看護学部, 助教 (40756194)
光木 幸子 同志社女子大学, 看護学部, 教授 (70269778)
小笠 美春 同志社女子大学, 看護学部, 准教授 (70544550)
森島 千都子 同志社女子大学, 看護学部, 助教 (80735879)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 視線計測 / 術後観察 / シミュレーション教育 / 臨床判断 / 熟練看護師 / 看護学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年3月末、熟練看護師を対象に、胃がんで幽門側胃切除術を受けた患者をシミュレーションモデル人形(SCENARIO:京都科学)で設定し、術後急変の状況で多くみられる①「気分が悪いです」②「痛いです」③「息が苦しいです」の3パターン(以降①②③とする)の発語トリガーをかけて、観察時の視線計測と観察終了後にアンケート調査を実施した。研究対象者は10名で、平均看護師経験年数15.7年であった。視線計測データはEMR-9の専用分析ソフトd-Targetを用いた。分析は場面の読み取りに偏りがないように、周術期経験25年以上の分析者1名を雇用した。d-Targetでは注視時間値0.1秒以上の場面を自動で画面抽出し、その観察画面を分析者が手動・目視で1カット毎に読み取りカット名をつけていく(例えばPCA、創部ガーゼなど)。観察場面は、ベッドサイドで患者に視線を移した時点を開始し、退出するために患者から視線を外した時点を終了とした(シーンの長さ)。シーンの長さの平均は①269.17秒②286.76秒③314.99秒であった。注視時間値0.1秒以上のカット数は①269.5回②415.4回③415.1回であった。そのうち分析に必要とみなしたカットを有効カットとして分析対象とした。アンケートの内容は、状況変化の原因として、①「硬膜外麻酔」7件、「術後出血」4件、「血圧低下」3件など15項目計28件であった。②「術後疼痛」10件、「硬膜外麻酔が正しく投与されていない」3件など8項目計21件であった。③「排痰困難」6件、「酸素が正しく投与されていない」3件、などの17項目計29件であった。今後は、アンケートによる主観的な術後アセスメントの視点と視線データによる客観的な視点を照合して、熟練看護師による術後急変時の観察に対する認知パターンを解析していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2023年度は、研究計画を変更し第3段階:術後観察時臨床判断シチュエーション・ベースド・トレーニング教材の作成の前に、第4段階:看護学生の術後観察時臨床判断の認知プロセスと行動パターンの推定を実施する予定であった。遅れている理由として、コロナ禍以降の2023年3月に熟練看護師から収集した視線データの解析に時間を要したためである。2022年度に購入したEMR-9の新しい解析ソフトd-Targetの解析方法の習得と画像データの読み取り専用者(周術期看護を経験した熟練看護師)1名の雇用が必要となった。画像データ読み取り専用者の雇用を申請者による解析ソフトの習得後に予定した。そのため、画像データ読み取り専用者の採用が10月以降になった。全てのデータ解析が2023年度中には終了しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は5月までには熟練看護師の状況2の視線データの解析を終了する。2023年度は研究の遂行計画を変更していた。しかし、2024年度は当初計画通りに熟練看護師の結果をもとに第3段階:術後観察時臨床判断シチュエーション・ベースド・トレーニング教材の作成を行う。その理由として、第4段階の看護学生の視線データを取得した場合に、その後のデータ解析に多くの時間を要することが予測されるためである。
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Causes of Carryover |
理由:2023年度は視線データが収集できたため専任の視線データ分析者への謝金および対面での関連学会に参加するため、学会参加費・学会出張費を予定していた。視線データ分析者への雇用が2023年10月以降となり、データの2/3しか分析できていないため、謝金の発生が予定執行できなかった。 使用計画:2024年度は残りの1/3のデータ分析のため引き続き専任の分析者への謝金を計上する。また、対面での関連学会に参加するため、学会参加費・学会出張費を計上する
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Research Products
(1 results)