2020 Fiscal Year Research-status Report
仮設住宅を退去した被災者の生理学及び心理学的影響と回復を促す集団プログラムの開発
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20K10778
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Research Institution | Kyushu University of Nursing and Social Welfare |
Principal Investigator |
緒方 浩志 九州看護福祉大学, 看護福祉学部, 助教 (20782692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 智之 九州看護福祉大学, 看護福祉学部, 准教授 (70586320)
木村 涼平 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 助教 (00742264)
増満 誠 福岡県立大学, 看護学部, 講師 (10381188)
森 雄太 帝京大学, 公私立大学の部局等, 助教 (10783798)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 被災者 / 看護学生 / 脳活動 / NIRS / 自律神経系活性心拍変動 / 心拍変動 / メンタルへルス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、仮設住宅退去後の生活再建期にある被災者に対して、災害による長期ストレスが心身に与える影響と心理的回復の阻害要因を生理学的・心理社会学的側面から分析する。さらに、被災者のリカバリーを促す視点から、看護師または保健師が実践可能な認知行動療法を活用した集団自立支援プログラムの開発を目的としている。 令和2年度は、自律神経系活性及び脳活動を用いた調査を実施するにあたり、文献検討から研究プロトコルを作成し、妥当性を検討するための予備調査を実施した。看護学生10名、大学教職員10名に対して実施し、看護学生について分析を終えている。 脳活動計測では、言語課題実施前と異なる言語課題を3つ連続で行った際の酸素化ヘモグロビンの変化についてt検定を行った。課題1(t= 2.285, df=9, p<.048)、課題2(t=1.018, df=9, p<.335)、課題3(t=1.104, df=9, p<.298)となり、課題1に有意差が見られたが、脳活動と日本版GHQ-28についてはいずれも有意差は認められなかった。本調査を行うにあたっては言葉の思考だけではなく、計算を取り入れる等の課題内容の検討、人との交流の程度を比較するためにコントロール群を用いて比較し分析を行う必要性があることが示唆された。 また、自律神経系活性において、睡眠時の平均心拍数、HF値、LF/HF値はいずれの値においても基準値内であった。本調査では、住居形態の違いや人との交流の程度との比較、活動強度を考慮した覚醒時の自律神経系活性や日内変動との関連について検証していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、熊本地震の影響を受けた地域の住民を対象としている。新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大に伴い、研究者会議の実施や研究活動の制限及び対象地域における研究対象者選定の調整が困難な状況であり本調査実施まで至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、webによる研究者会議を実施し、大学教員のデータを含めた予備調査の分析を行う。同時に本調査実施のための対象者選定を自治体と協力として実施していく。 また、令和3年度予定であるインタビュー調査のためのインタビューガイド作成を進める。
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Causes of Carryover |
当初予定していた測定機器の購入予定が変更となったことや、COVID-19の流行による学会の中止及び研究活動の制限により本調査が実施できなかったために使用額が少なかった。
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Research Products
(2 results)