2021 Fiscal Year Research-status Report
処置場面における子どもの体験に関する状況特定理論の構築
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20K10875
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
藤井 加那子 兵庫医療大学, 看護学部, 講師 (30404403)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 幼児 / 医療処置 / 体験 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は主として、2020年度に行った文献検討および文献収集の詳細な分析とSR作成のためのプロトコール策定に取り組んだ。昨年度確認されたように、処置前の子どもの見せる反応や医療者との相互作用など子どもの様子は多くの文献で記載をされているが、研究焦点は医療者の介入方法やその効果、医療者の体験にあった。これらの研究の中に示されている子どもの反応は、「慎重に観察する」「大人に委ねる」「状況のコントロールをしようと奮闘する」「安心をもとめる」といったものが見られた。また、「回避を試みる」「諦める」といったネガティブな反応も確認されていた。しかし、ネガティブな反応記述は介入効果などに焦点をあてた研究ではほとんど見られなかった。これらの結果からシステマティック・レビューに用いる検索式の検討している。しかしながら、検査を実施する環境は海外と国内は異なることからSRとして適切に行えるか、専門家に相談をしながら進めている。 また、理論構築の勉強会に参加をし、理論構築の手法について再度学びを深めるとともに、状況特定理論構築をしていく上での元となる理論として「ストレス・コーピング理論」「ピグマリオン効果」のほかに、「期待理論」を用いることが可能かを検討している。ただし、全て大人に適応されている理論であるため、他に発達心理学領域などの理論を検索も検討している。 子どもの行動理解をするためには、処置場面での子どもの観察は不可欠であったが、昨年度に引き続き今年度もCovid-19のため、観察の機会を得ることは容易ではなく、臨床状況の確認には至れていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度は前年度に収集した文献のうち海外文献を中心に精読し、その内容の分析を行った。海外文献については新たなキーワードの導出にはいたらなかったが、海外の処置前の子どもの体験に関する研究の現状は確認することができた。また、国内文献で記述されている子どもの体験を整理に取り組んだが、研究主題や研究目的によって記述されている内容・量に差があり、また生データに基づかない記述も散見されているため、再度整理を行っている。このため、予定をしていたプロトコール策定には至れていない現状にある。 海外文献と国内文献の現在までに明らかになっている子どもの体験は、「慎重に観察する」「大人に委ねる」「状況のコントロールをしようと奮闘する」「安心をもとめる」といったものが見られた。また、「回避を試みる」「諦める」である。子どもの体験を理論としていく上ではどちらの反応も必要な内容であると考えているため、システマティック・レビュー(以下、SRと略す)にネガティブな反応に関する結果が示されなかった場合は、ネガティブな反応に焦点をあてたSRを行うか、もしくは実践現象の観察からネガティブな反応についてまとめ、理論構築のためのデータとすることも検討しなくてはならない。なお、今年度もCovid-19のため臨床現場での実践現象の観察は難しい状況にあったため、実施を見合わせた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度においては遅れているSRのプロトコール策定を完了し、プロトコロールのJBI登録ならびにSRの実施に着手する。SRプロトコール策定のために収集した文献は数多くあるため、文献整理には適宜研究補助者を雇用していく。また、SR実施時にはSR経験者を含め、本主題に関心のある研究者協力者を募り、遅れてはいるが着実に研究を進められるようにしていく。 昨年度はCovid-19により臨床での現象確認が難しい状況があったが、臨床状況を見極めながらも可能な限り実践状況の観察を計画し、施設と交渉を行っていく。しかしながら、実践状況の観察研究は医療状況の影響を強く受けるため、SRを中心に現在の状況でできることに重点を置いて計画を進めていく。また、これまでに実施した本主題に関する国内外の研究状況の外観についてまとめ、学会等への報告に取り組む。
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Causes of Carryover |
2020年度からの繰り越しがあり、2021年度の所有額が予定していた金額よりも多くなっていた。2021年度内に計画的使用を行っていたが、十分な使用に至れなかった。 次年度は、SR登録や臨床実践観察に取り組むことを予定しているため、研究補助者による文献等の整理やデータ入力・整理が必要な機会が増えることが見込まれる。研究も当初の予定から遅滞しているため、研究補助者を積極的に雇用・活用し、研究スケジュールの取り戻しとともに、予算の年度内執行に努める。
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