2020 Fiscal Year Research-status Report
居宅内歩行速度モニタリングによる歩行機能低下予測モデルの開発
Project/Area Number |
20K11159
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
浅川 康吉 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 教授 (60231875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 隆司 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 教授 (70337989)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 歩行速度 / モニタリング / 高齢者 / 外出 / 居宅 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は在宅生活場面の歩行速度データから歩行能力の低下や徒歩による外出の制約の発生を予測する評価法を開発する4年間の研究である。研究1年目の本年度は人感センサーのミリ秒単位の感応記録(計2058件)とこのセンサー付近に設置した自動撮影カメラの写真(静止画像、計1693枚)の照合を行った。対象は準備段階で協力を得ていた3名の1週間分のデータで、この間の生活実態は作業療法士が確認した。 照合の結果、人感センサーは歩行中の立ち止まりやUターンおよび調理、掃除、洗濯などの立位動作にも反応する場合があること、またセンサーのトリガースピードやリカバリータイム、データの送受信のタイムラグにより極端に速いあるいは遅い速度が計算される場合があることがわかった。そこで人感センサーの全データから生活場面の歩行と判断できるデータを抽出する基準を検討した。 この結果、今回のモニタリングシステムにおける生活歩行速度の検出可能な範囲は最低速度0.1m/s、最高速度1.5 m/sとすることが妥当と判断した。この範囲では計431件のデータが生活歩行速度とみなされ、対象者ごとの生活歩行速度(平均値±標準偏差(中央値))は早い順に0.719±0.516(0.519)、0.422±0.299(0.374)、0.210±0.10(0.191)となった。この順は外出時の歩行態様の独歩、杖、シルバーカーに応じており、このような検出範囲を設定して抽出された生活歩行速度のデータは外出時の歩行能力を反映する可能性があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究はいつも通りに居宅で暮らしているときの歩行速度(生活歩行速度)の変化からその先に生じる歩行能力の低下や徒歩による外出の制約の発生を予測するための知見を得ることを目指している。しかしながらコロナ禍による緊急事態宣言などを受けて外出自粛がみられる地域が多く研究フィールドを確保できなかった。 本研究では同時にモニタリング可能な人数が1名であることから対象者を独居高齢者に限定していた。さらに、データ収集にあたっては居宅を訪問しセンサーを設置したり、モニタリング期間中の生活行為についてタイムスタディや参与観察したりすることを予定していた。しかしながら、コロナ禍の影響でこのような研究に対する研究協力機関を得ることが難しい状況となり独居高齢者を対象に予定していた研究参加者の募集などを行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度もコロナ禍は続いており、本研究が遅滞した理由は解消されないと思われる。しかしながら、緊急事態宣言の適用がなされなかった地域では高齢者に対する介護予防事業などが徐々に再開されており、その点では本研究の研究フィールドを探しやすい状況になりつつある。このような状況を踏まえ、2021年度は上半期においては地域包括支援センターなど地域高齢者の支援拠点との関係を構築し、コロナ禍にあっても研究参加者へ十分なフォローができる環境を整えたうえで研究参加者の募集を始めたいと考えている。下半期では2020年度に設定した生活歩行速度の抽出方法にそって既存データの再解析を行いつつ、本来は2021年度から開始を計画していた生活歩行速度データの蓄積とフィールド計測歩行速度の定期的な計測を少数例で開始したいと考えている。
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Causes of Carryover |
2020年度はコロナ禍による緊急事態宣言などの影響で予定していた研究フィールドが確保できず、研究参加者募集もできなかった。このため研究が遅滞し次年度使用額が生じた。2021年度はコロナ禍の状況を見極めながら研究フィールドの見直しを行い、研究の遅滞の解消に向けて次年度使用額を活用して少数例であってもデータの収集、蓄積を開始したいと考えている。
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