2020 Fiscal Year Research-status Report
オリンピアンの出征と戦争体験が戦後のスポーツ界の復興・再建過程に与えた影響
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20K11421
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
曾根 幹子 広島市立大学, 国際学部, 名誉教授 (00275398)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オリンピアン / 出征 / 戦争体験 / 戦後のスポーツ界 / 復興・再建 / 帰還オリンピアン / 戦没オリンピアン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本人オリンピアンたちの「戦争体験」に着目し、これまで1兵士として軍事史の中に埋もれていた彼らの経験を掘り起こし、オリンピアンの出征とスポーツ組織・団体の戦時下のスタンスや行動の実相を、「オリンピアン」の視点から明らかにするとともに、出征し帰還したオリンピアンの「戦争体験」が、戦後のスポーツ界の復興・再建過程にいかなる影響を与えたかについて考察することを目的としている。具体的には、戦争が原因で亡くなったオリンピアン(以下、戦没オリンピアン)と帰還したオリンピアンの「軍隊」とスポーツの「経験」を、軍事史とスポーツ史の両面から考察し、新たな歴史的解釈から先の影響を探っていくものである。 2020年度の計画では、これまでの「戦没オリンピアン」調査をベースに、遺族・関係者が保有している資料や新たな関連資料の収集・発掘を試みると同時に、国内外での調査結果を総合的に分析し、研究対象とする「帰還オリンピアン」の選定と「軍歴証明書」の閲覧に関して、遺族への協力をお願いする予定であった。しかし、今年度は新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延で、国内外ともに調査を実施することができなかった。特に聞き取り調査は、高齢者を対象としていることもあり、自粛せざるを得なかったため、調査の分析、関連資料の収集等の作業ができていない。 今年度は、延期になったオリンピック東京大会の開催年と広島市被爆75年が重なり、開催が可能になった企画展や講演会において、申請者の研究の一端を公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延で、国内外ともに移動が制限され、資料収集及び調査の実施が全くできなかった。特に聞き取り調査は、その多くは高齢者が対象であり、話を伺うために出向くこと自体が困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究開始の初年度から全く調査ができなかったため、次年度は移動の制限が解除になれば、今年度できなかった国内外での調査を進めたい。 当初計画していた「帰還オリンピアン」のご遺族や関係者への聞き取り調査に関しては、メールや手紙で調査協力を依頼している。ただし現時点で、新型コロナウイルスの収束時期が不透明であるため、場合によっては、調査対象、資料収集範囲の見直しを行わざるを得ないと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大により、国内外で移動制限があり調査に行くことができなかった。次年度は遅れている調査を精力的に進めたい。そのため資料収集及び調査費にしめる旅費が多くなることが予想されるため。
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