2022 Fiscal Year Annual Research Report
アセチルコリン受容体クラスター化における活性型ビタミンDの機能解析
Project/Area Number |
20K11426
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
我妻 玲 東京女子大学, 現代教養学部, 研究員 (00347121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒川 正行 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 研究員 (90398868)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ビタミンD / サルコペニア / 神経筋接合部 / ニコチン性アセチルコリン受容体 / トランスクリプトーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
ビタミンDは迅速な細胞内シグナル伝達経路の活性化(非ゲノム作用)および遺伝子発現調節(ゲノム作用)を誘導する。本研究の目的は、この2つの作用が筋管細胞膜上におけるニコチン性アセチルコリンレセプター(以下nAChRとする)のクラスター化に与える影響を明らかにすることである。2020年度は、ビタミンDによる迅速なカルシウム濃度の上昇がアグリン誘導性のnAChRのクラスター形成を促進させることを報告した。2021年度は、RNA-seq解析を実施し、Rho GTPaseシグナリング関連遺伝子セットなどに変化が見られることを報告した。 2022年度は以下に示す①~④の基準を設定し、RNA-seqデータを用いてnAChRのクラスター化促進遺伝子の探索を行った。①コントロールの1.5倍以上の発現量があること、②アグリンで当該遺伝子の発現量増加が見られないこと、③ビタミンDとアグリンの共存下でも1.5倍以上の発現量があること、④先行研究でシナプス後膜分化に関与する可能性のある遺伝子としての報告があることとした。 分析の結果、5個のインスリンシグナル伝達経路に関係する遺伝子、5個の転写因子、3個のnAChR代謝に関係する遺伝子、2個の神経栄養因子、2個の増殖因子、2個のDNAメチルトランスフェラーゼ、2個のレドックス反応に関係する遺伝子、1個のジストロフィン-糖タンパク質複合体因子、1個のNotchシグナル伝達経路に関係する遺伝子、1個のMAPK シグナル伝達経路に関係する遺伝子、1個のコレステロール輸送に関係する遺伝子、1個のRhoグアニンヌクレオチド交換因子であった。 これらの結果は、ビタミンDはシナプス後膜分化に関係する遺伝子群の発現を制御しており、アグリン誘導性のnAChRのクラスター化を促進する生理活性物質であることを示唆する。
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