2021 Fiscal Year Research-status Report
審判員における心理診断システムの構築と有効性の評価
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20K11427
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
村上 貴聡 東京理科大学, 教養教育研究院神楽坂キャンパス教養部, 教授 (30363344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立谷 泰久 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツメディカルセンター, 先任研究員 (10392705)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 審判員 / 心理的スキル / ストレス / コーピング / フィードバックシート |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,審判員の心理面強化ならびにストレス対策を図るために、審判員特有の心理診断システムを構築し、その効果を検証することを目的としている。具体的には、審判員の心理面に焦点を当てた国内外の文献的研究を行い(研究1)、質問紙調査および面接調査を実施することによりフィードバックシートを作成する(研究2)。次に、審判員用のメンタルトレーニング教材を作成し、心理診断システムを開発する(研究3)。最後に、開発された心理診断システムを評価する(研究4)ことであった。 2021年度は研究2および研究3の一部を実施した。まず、研究2として、審判員用心理的スキル尺度のフィードバックシートを作成した。作成にあたっては、前年度に実施したフィードバックシートに関する自由記述調査の結果を参考にして共同研究者間で協議し、説明文も含めた効果的なフィードバックシートを完成することができた。 次に、研究3として、審判員用のメンタルトレーニング教材を作成するための基礎的資料として、審判インストラクターのコーピングおよびストレス反応に関するオンライン調査を実施し、野球公認審判員1名に対してメンタルトレーニングに関するインタビュー調査を行った。その結果、審判インストラクターは「回避・逃避型」の消極的コーピングよりも、「問題焦点型」「情動焦点型」のような積極的コーピングを活用している傾向がみられた。一方、心理面の改善を目的とした方法に関するインタビュー調査では、審判員における「目標設定」「セルフトーク」「ルーティン」「自信」「集中力」の重要性が明らかになり、現場での具体的な実践例についてコメントを頂くことができた。これらの結果をもとに、審判員用のメンタルトレーニング教材の作成を進め、診断システムの開発ならびに効果の検証を続けていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
我々が開発した審判員用心理的スキル検査(PSIR)のフィードバックシートの作成を専門業者に依頼し、その選定や校正作業、調整に予定よりも時間を費やした。また、メンタルトレーニング教材作成の参考とするためのオンライン調査を実施する予定であったが,対象者の確保に時間がかかったことが挙げられる。しかしながら、専門的知識を持つ公認審判員にインタビュー調査を実施することができ、審判員用メンタルトレーニング教材に活かせる新たな知見を得ることができた。2022年度も新型コロナウィルス感染症の影響で各競技団体の審判講習会が中止になることも予想されるため、オンライン調査を中心に実施する予定である。以上のことから,現在までの達成度は「やや遅れている」と自己評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、公認審判員数名を対象としてインタビューを実施し、メンタルトレーニングの具体的実践例について意見を頂き、メンタルトレーニング教材作成の参考資料とする。また、昨年度実施できなかった審判員用心理的スキル尺度の大規模調査を実施し、種目や資格レベルによる心理的傾向を明らかにする。そして、得られた結果をもとにしてメンタルトレーニング教材(テキストやワークブック)を作成する。教材の作成にあたってはメンタルトレーニング指導士の資格を有する複数の研究者に協力してもらう。2022年度は本研究の最終年度のため、これまで収集した審判員の心理面のデータをさらに分析し、心理診断システムの開発につなげていく予定である。また、研究の成果や公表については、日本体育学会、日本スポーツ心理学会で研究発表を行うとともに、これまでと同様に各競技団体の審判員会へ情報発信を進めていく。
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Causes of Carryover |
2021年度に残額(1,165,624円)が生じてしまったが,新型コロナウィルス感染症の影響により、移動を伴う研究調査が滞ったため、旅費,調査への諸謝金の使用ができなかったことが大きな要因であった。2022年度は各競技団体での審判講習会も再開されたことから、対面での調査を含めて実施する予定である。
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Research Products
(5 results)