2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K11486
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
池田 拓人 和歌山大学, 教育学部, 教授 (90372672)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 小学校 / 柔道 / 教材化 / 柔の形 |
Outline of Annual Research Achievements |
柔道が小学校体育の教材として行われていたのは、昭和14年(1939)年に小学校武道指導要目が制定され準正課として実施されるようになってから終戦までの数年間であったため、これまでほとんど取り上げられることがなかったと考えられるが、それ以前の大正初期から小学校への導入に向けた実践研究が全国各地の小学校で盛んに行われていたことがわかってきており、そうした実態把握を行うことは近代日本の学校における柔道教育の全体像を知るうえで重要であると考える。そのためにも、戦前の学校体育において中等教育から初等教育へと武道が辿った道筋を精緻に検証する必要性がある。 本年度は、中学校の体操科に武道教材が採用されて以降、大正初期頃からは、さらに小学校への導入が議論されはじめるなかで、昭和14(1939)年に小学校武道指導要目が制定されて小学校の教材として位置づくまでの間、全国各地の小学校において試みられるようになっていった小学校柔道の教材化に向けた取り組みの内容と実践状況の実態的把握を行うこととした。その結果、以下のことが明らかとなった。 随意科目として柔道を実施していった実践校・研究校において柔道の指導内容についての実践研究が行われ、小学校では講道館の「柔の形」を中心教材に位置づけながら、発展的に平易な技の学習に進んでいくというかたちで行われた。また、昭和に入ると「柔の形」にかわって「精力善用国民体育」に移行していくようなるが基本的な方針は維持されていった。こうした実践研究を踏まえながら質的向上が図られ、講道館が中心となって小学校柔道の指導内容・方法が集約されていったことが明らかとなった。 なお、上記の研究成果については研究誌に投稿して掲載されることとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に示した本年度の研究計画について、予定どおり課題の解明を達成できており、その成果内容を研究誌にも掲載することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果のなかで、次年度に計画してる研究につながる具体的な課題内容も見えてきたため、研究の進展を加速させていきたい。引き続き、研究の遂行に必要な文献史料について資料調査を行って、さらなる資料収集と資料発掘を進めて研究の進展を図っていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により資料収集のための旅行が実施できなかったことや関係学会もオンライン開催となったために旅費使用がなかったことによる繰越金が生じた。これについては次年度予定の旅費と合わせて使用する。使用計画の内訳は、成果発表のための旅費および資料調査のための旅費となる。
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