2021 Fiscal Year Research-status Report
Effect of the hydrogen produced by the intestinal microbes in pregnant mother on the regulation of the embryonic and fetal development
Project/Area Number |
20K11535
|
Research Institution | Jumonji University |
Principal Investigator |
中村 禎子 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 教授 (60382438)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 敏幸 産業医科大学, 医学部, 教授 (30284673)
奥 恒行 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 客員教授 (50010096)
田辺 賢一 中村学園大学, 栄養科学部, 准教授 (60585727)
下内 章人 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (80211291)
金高 有里 十文字学園女子大学, 国際栄養食文化健康研究所, 客員研究員 (80420909)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 腸内細菌由来代謝産物 / 腸内細菌由来水素ガス / 葉酸 / 胎仔 / 発生・分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、次の背景と仮説を検証すること目的とし、順次実験を実施している。妊娠期の母体の栄養環境に依存して胎児期の発生に異常を来たし、成長後に疾病を発症するモデルマウスを用いる。このマウスの妊娠期に難消化性糖質含有飼料を摂取させ、腸内細菌が産生する水素ガスが胎児へ移行することによる生体酸化抑制作用により、胎児の発生・発達を正常化し、成長後の疾病の罹患や重症化を予防するという仮説である。本研究費では、このうち、難消化性糖質による胎仔の発生・発達の正常化について機序解明を行っている。 上述したモデルマウスを、次の3群に割り付けて飼育した。①対照としてAIN93精製飼料群を設け、②これに葉酸を添加した葉酸添加群(葉酸添加により、出生後の疾病を誘導する)③水素ガスをはじめとする腸内細菌による代謝産物の影響を観察するために、②の葉酸添加飼料に難消化性糖質を含有する飼料群とした。これらの飼料を妊娠1日目から摂取させ、出産前に解剖した。 2021年度は、昨年度に引き続き、実験に供するための母獣と胎児のサンプルの採材を行った。また、本研究仮説の前提条件となる以下の2つについて確立することができた。すなわち、母獣に難消化性糖質を継続的に摂取させることにより、母獣の腸内細菌由来水素ガスが胎仔へ移行することを初めて見出し、母獣の各器官・組織における腸内細菌由来水素ガスの分布を明らかにし、これらを報文として報告した(奥田明日香他.安定同位体と生体ガス医学応用13: 13-22, 2021.)。また、母獣が摂取した葉酸の体内分布、ならびに胎仔への移行について明らかにし、飼料の違いによる差異があることを明らかにした。 本年度に確保できたサンプルを用いて、今後実施する生体酸化関連指標、ならびに発生に関わるタンパク質や転写因子を測定するための予備的検討を実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2年目となる2021年度の大きな目的は、マウスの胎仔サンプルを統計解析に耐えうるように採材すること、研究仮説の前提となる2つの項目についてあきらかにすることであった。 仮説の前提となる2つの事項については、明らかにすることができた。しかし、サンプルの採材は、やや遅れている。本来2020年度に必要なサンプルを採材し、2021年度に測定等を開始する予定であったが、下記理由により遅れたため、全体の実験スケジュールはやや遅延している。①飼育したマウス母獣の妊娠率が低かったこと、②胎仔の雌雄差に大きな偏りがあったこと、②新型コロナウイルス感染症への対応により動物実験の開始時期が遅れたことである。サンプル数は十分とは言えないが、測定を並行して開始している。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度は最終年度になるため、早い時期に動物飼育を行い、母獣、および胎仔サンプルを十分に確保するよう努める。同時に、生体酸化関連指標、および胎仔期の発生・発達に及ぼす因子の測定を行い、仮説を証明する予定である。本実験は、モデルマウスの妊娠率と、胎仔の雌雄の数、すなわち自然の摂理に依存するところが大きいため、十分なサンプルを得ることが最も大きな課題である。辛抱強く、飼育実験を繰り返して実施する。
|
Causes of Carryover |
初年度である2020年度からの新型コロナウイルス感染症対応の影響により、飼育実験に遅れが生じている。2021年度には、この遅れを取り戻すべく実験を実施したが、当初の予定に比較すると、実験がやや遅れている。このため、備品購入を取りやめたり、実験手順を入れ替えるなどの対応を行ったことにより、次年度使用額が生じた。この分は、2022年度に実験を実施するために必要な試薬類に使用する。 2021年度には、全体の遅れをかなり挽回することができたので、最終年度は早くから測定等に取り組み、著書計上した経費を使用する。
|
Research Products
(8 results)