2023 Fiscal Year Annual Research Report
Effect of the hydrogen produced by the intestinal microbes in pregnant mother on the regulation of the embryonic and fetal development
Project/Area Number |
20K11535
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Research Institution | Jumonji University |
Principal Investigator |
中村 禎子 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 教授 (60382438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 敏幸 産業医科大学, 医学部, 教授 (30284673)
奥 恒行 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 客員教授 (50010096)
田辺 賢一 中村学園大学, 栄養科学部, 准教授 (60585727)
下内 章人 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (80211291)
金高 有里 十文字学園女子大学, 国際栄養食文化健康研究所, 客員研究員 (80420909)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 難消化性糖質 / 腸内細菌由来代謝産物 / 腸内細菌由来水素ガス / 葉酸 / 胎仔 / 酸化ストレス / 分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、結果をまとめて英文学術雑誌に公表した。 本研究は、妊娠期葉酸過剰モデルマウスを使用し、難消化性糖質同時摂取による次の仮説を検証した。妊娠期葉酸過剰モデルマウスは、妊娠期母獣に過剰な葉酸を摂取させた出生した仔に、その成長後にインスリン抵抗性が惹起されるモデルである。このモデルマウスに過剰な葉酸と難消化性糖質を同時に摂取させ、A)腸内細菌が産生する水素ガスが胎児へ移行すること、B)腸内細菌由来水素ガスが母獣と胎仔双方の生体酸化を抑制すること、C)胎児のインスリン分泌にかかるタンパク質、および転写因子の発現を維持すること、D)成長後の疾病の罹患や重症化を予防すること、である。本研究費では、この仮説のAからCまでを証明した。 実験は、次の3群、即ち①対照としてAIN93精製飼料群、②これに葉酸を添加した葉酸添加群(モデルマウス用の飼料)、③水素ガスをはじめとする腸内細菌による代謝産物の影響を観察するために、②の葉酸添加飼料に難消化性糖質を含有する飼料群とした。これらの飼料を妊娠1日目から摂取させ、18日目の胎仔を採材した。 主な結果は次のとおりである。母獣が葉酸過剰と難消化性糖質を同時摂取することにより腸内細菌由来水素ガスが産生し、そのガスは胎仔へ移行した。尿中等へ排泄される酸化ストレスマーカー、および抗酸化に関わる肝臓中酵素のタンパク質発現、およびmRNA発現は、葉酸過剰により有意に亢進し、難消化性糖質同時摂取によって対照飼料との有意差は観察されなかった。インスリン抵抗性の誘発に関わる胎仔の膵臓中タンパク質、ならびに転写因子の発現は、葉酸過剰により有意に縮小し、難消化性糖質同時摂取によって対照飼料との有意差は観察されなかった。以上のように仮説AからCを証明し、さらに、腸内細菌由来水素ガスの抗酸化作用がNrf2を介する経路であることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)