2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K11583
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
田中 照佳 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 助教 (10811664)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 破骨細胞 / クズ / プエラリン / シリンガ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らは、破骨細胞を活性化/不活性化した時の腹部大動脈瘤病変を観察し、破骨細胞が腹部大動脈瘤の発症に与える影響について解析している。本年度は、食品成分による腹部大動脈瘤予防効果とその作用機構の解明を行った。 研究代表者らは、未利用の植物資源である葛(クズ、Pueraria lobata)蔓抽出物や葛蔓に含有するC-グリコシド型イソフラボン・プエラリンの破骨細胞の分化抑制効果や動脈瘤モデルマウスへの影響を報告した。そこで、本年度は葛蔓抽出物が破骨細胞の分化を抑制する有効作用量を卵巣を摘出した骨粗鬆症モデルマウスにて検討した。その結果、食品安全委員会の大豆イソフラボンの一日の摂取基準よりも少ない用量で卵巣摘出マウスの破骨細胞分化を抑制することが認められた。また、プエラリンのマウス体内への移行形態および移行量をHPLCやLC-MSを用いて検討した。その結果、プエラリンを投与したマウス血中において、プエラリンの硫酸抱合体やグルクロン酸抱合体など一部が抱合体として検出されたが、その主要存在形態はインタクトなプエラリンであった。したがって、マウス体内でほとんど代謝を受けず血中へ移行することが明らかとなった。 一方、研究代表者らは木材成分リグニンの分解物であるシリンガ酸の破骨細胞分化抑制効果を報告したが、シリンガ酸の新たな機能性として脂質代謝調節作用を見出した。また、その作用機構としてインスリン抵抗性を改善することで血糖値を減少させることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
破骨細胞の分化を抑制する食品成分の研究を行い、クズ蔓抽出物の破骨細胞の分化抑制効果の有効作用量の検討について論文報告としてまとめている。また、シリンガ酸の脂質代謝調節作用については論文として報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き破骨細胞を活性化/不活性化した時の腹部大動脈瘤病変を観察し、破骨細胞が腹部大動脈瘤の発症に与える影響について解析する。また、シリンガ酸の脂質代謝調節作用の詳細な作用機構について研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
2022年度から近畿大学に異動することになり、移動準備などの理由で研究に時間を費やすことができず、次年度使用額が生じた。
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