2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K11583
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
田中 照佳 近畿大学, 農学部, 講師 (10811664)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腹部大動脈瘤 / 破骨細胞 / プエラリン / シリンガ酸 / バニリン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、①破骨細胞を活性化した時の腹部大動脈瘤病変を観察、②食品成分による腹部大動脈瘤予防効果の作用機構の解明、を行った。 ①では、女性は65歳以上になると腹部大動脈瘤に発症する可能性が高いことが知られているが、これは閉経によるエストロゲン欠乏により破骨細胞が活性化されることが原因である可能性がある。そこで、卵巣摘出マウスと卵巣摘出擬似手術マウスにおいてCaPO4誘発性の腹部大動脈瘤モデルを作製した。その結果、卵巣摘出マウスは卵巣摘出擬似手術マウスと比較し、破骨細胞が活性化され、腹部大動脈瘤の発症を促進させた。これらのデータは、「破骨細胞」は動脈瘤の発症に重要な役割を果たしていることを示唆しており、腹部大動脈瘤の発症機構の解明や予防・治療薬の開発を目指すための重要な知見になると考えられる。 一方、②では、既に腹部大動脈瘤の予防食品として報告した葛(クズ、Pueraria lobata)蔓抽出物が破骨細胞の分化を抑制する有効作用量やクズの主要イソフラボンであるプエラリンのマウス体内への移行形態を検討した。その結果、食品安全委員会の大豆イソフラボンの一日の摂取基準よりも少ない用量で卵巣摘出マウスの破骨細胞分化を抑制することが認められた。また、プエラリンを投与したマウス血中において、プエラリンの硫酸抱合体やグルクロン酸抱合体など一部が抱合体として検出されたが、その主要存在形態はインタクトなプエラリンであった。したがって、マウス体内でほとんど代謝を受けず血中へ移行することが明らかとなった。さらに、木材成分リグニンの分解物であるシリンガ酸やバニリン酸の新規機能性として破骨細胞分化抑制効果を見出した。
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