2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K11642
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Research Institution | Beppu University |
Principal Investigator |
仙波 和代 (後藤和代) 別府大学, 食物栄養科学部, 教授 (30381031)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 免疫 / ミネラル |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は本研究課題に関し以下2つの実験を行った。 1.培養系樹状細胞に硫黄とアルミニウムの化合物を添加し、活性化遺伝子の探索を行った。その結果IRAK-4が活性化されることを見出した。IRAK-4は細胞性免疫と液性免疫の両者に関わっているタンパク分子であり、この遺伝子が欠損すると重篤な感染症を引き起こすことが知られているが、遺伝子発現を誘導することがどのような効果につながるのか分かっていない。そこで昨年度はこれらの化合物が液性免疫である抗体産生に関与するかどうかの実験を行った。マウスより脾臓細胞を採取・培養し、硫酸カリウム、硫酸カリウム・アルミニウム、天然ハロトリカイトを添加し、産生されるIgAの測定を行った。その結果、全てにおいてコントロールの2倍ほどのIgAを産生した。その結果から硫酸の化合物が何らかの影響を与えていると考えられた。次年度は細胞性免疫系の実験を行い、細胞性免疫にも関与しているのか検討する予定である。 2.ミネラルの投与方法に関して、経皮から取り入れることが可能かどうかの実験を行った。皮膚三次元モデルの細胞にミネラルの化合物を添加し、ミネラルが真皮層に届いているのか検討した。その結果、硫黄、アルミニウム、鉄分が浸透していることが判明した。 アレルギー発症や微生物の感染は主に皮膚や粘膜への抗原付着が第1段階であり、この段階で免疫を上手く発動させ排除できるかどうかが予後に大きく関与すると考えられる。次年度はもう少し追究する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ感染症拡大のため予算執行の開始が遅れたこと、さらに海外からの試薬等の到着にも時間がかかったことがあげられる。またリモート授業への切り替えや、その結果増加した成績不振学生への対応などに通常より時間がかかり、研究の時間確保ができなかったことも大きな理由である。2021年度においては、共同研究者を入れて体制を整え、またゼミの学生もコロナ禍においても大学に来ることから、2020年度よりはスムーズに実験が進むだろうと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今回硫黄化合物の液性免疫への関与が示唆されたことから、細胞性免疫の関与も検討すると同時に、感染の初期段階である粘膜での感染予防に有効であるのかどうかの検討を行う。またIgAが産生されているということは、相対的にIgEへのクラススイッチが減るということであり、アトピー性皮膚炎や花粉症などのI型アレルギーへの有効性が考えられるため、それらの症状緩和につながるのかさらなる検討を行う。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染拡大により研究が予定より遅れている。そのため使用した金額も少なくなっている。次年度は共同研究者も入れ、コロナ禍においても研究できるように体制を整えたため、昨年度よりは研究に費やせる時間が確保できる。 使用計画は申請書と大きな変更はないが、試薬などの到着遅れが想定される場合は、外注で研究を推進する予定であり、そのため物品費からその他の項目に変更が生じるかもしれない。
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