2020 Fiscal Year Research-status Report
大規模分散GPGPUシミュレーションの対話的In-Situ可視化
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20K11844
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
河村 拓馬 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究職 (90718248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野寺 直幸 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究職 (50614484)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | GPUスーパーコンピュータ / 汚染物質の大気拡散シミュレーション / 実時間解析 / 実時間可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、これまでCPUスーパーコンピュータ(スパコン)向けに開発してきた粒子ベースのIn-Situ可視化技術であるIn-Situ PBVRをGPUスパコン向けに移植し、対話的な可視化解析フレームワークを構築した。本研究では、都市内部から放出された汚染物質の大気拡散を計算する約1億格子の大規模な都市気流シミュレーションCityLBMを適用対象とした。CityLBMはフルGPU化され実時間解析が可能であるため、可視化処理がシミュレーション性能を阻害しないフレームワークの設計が必要であった。また、都市内部のモニタリングスポットから得られたデータをもとに、可視化しながらシミュレーションのパラメータを調整する需要があった。 本研究では、シミュレーションをGPUで、可視化処理をCPUで非同期に行うフレームワークを構築した。可視化処理として行う可視化用の粒子生成はメニーコアCPUのSIMD命令を用いて最適化され、シミュレーションの数十ステップに1回の出力をCPUで実時間で可視化できた。また、In-Situ PBVRのフレームワークを拡張し、可視化と同時に汚染物質濃度の時系列の値をモニタリングし、その結果を観察しながら計算パラメータを対話的に変更するIn-Situステアリング機能を開発した。この機能の有効性を検証するために、モニタリングスポットに汚染物質濃度を試験的に設定し、In-Situステアリングにより汚染源の位置を対話的に変更することで、最適な汚染源の位置を探索できることを示した。 本研究の意義は、従来可視化手法では困難だった、実時間解析を阻害しない実時間可視化、および実時間のIn-Situステアリングを達成したことである。 原子力分野では原発事故や核テロの対策に向けて汚染物質大気拡散のリアルタイム予測システムの構築を目指しており、本研究はその成立に重要な役割を果たす。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究実施計画の研究項目1「可視化フレームワークの移植」を実施した。研究の方針を、CUDAによる可視化処理機能の開発から、CPUを利用した非同期のフレームワークの構築に変更したが、目標である実時間解析の実時間可視化を達成できたため、進捗は順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、研究項目1:「可視化フレームワークの移植」について、当初計画通りに「実時間解析の実時間可視化」を達成することができた。次年度移行も研究計画に基づき、研究項目2:「粒子データの圧縮」および研究項目3:「GPUシミュレーションの実時間可視化」が達成できるよう推進する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、学会参加を見送ったことから、次年度使用額が生じることになった。次年度使用額は、次年度分経費と合わせて、リモートワーク環境の整備に係る費用として使用する。
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Research Products
(7 results)